延髄外側梗塞の臨床的検討 発生原因と嚥下障害

MRIで病巣が確認された延髄外側梗塞10例(男性7例,女性3例,平均年齢58.3歳)において,その発生原因と嚥下障害について検討した.発生原因は血栓症が6例,椎骨動脈解離が4例であった.椎骨動脈解離例は脳梗塞危険因子の合併が少なく,発症年齢も低かった.延髄外側梗塞の原因として椎骨動脈解離の多いことが,延髄外側梗塞では若年発症で再発が少ないことの原因と考えられた.嚥下障害に関しては,嚥下障害が2例,軽症が4例,嚥下障害遷延例が4例であった.2例は経管栄養にて退院した.嚥下障害が最も重度であった1例では発症後4カ月を要したが,保存的治療のみで経口摂取可能となった.全例,日常生活は自立,自力歩行可能...

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Published in日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 3; no. 2; pp. 10 - 15
Main Authors 川本, 未知, 吉川, 信嘉, 高野, 真, 川村, 純一郎, 青木, 信生, 高塚, 勝哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 30.12.1999
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ISSN1343-8441
2434-2254
DOI10.32136/jsdr.3.2_10

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Summary:MRIで病巣が確認された延髄外側梗塞10例(男性7例,女性3例,平均年齢58.3歳)において,その発生原因と嚥下障害について検討した.発生原因は血栓症が6例,椎骨動脈解離が4例であった.椎骨動脈解離例は脳梗塞危険因子の合併が少なく,発症年齢も低かった.延髄外側梗塞の原因として椎骨動脈解離の多いことが,延髄外側梗塞では若年発症で再発が少ないことの原因と考えられた.嚥下障害に関しては,嚥下障害が2例,軽症が4例,嚥下障害遷延例が4例であった.2例は経管栄養にて退院した.嚥下障害が最も重度であった1例では発症後4カ月を要したが,保存的治療のみで経口摂取可能となった.全例,日常生活は自立,自力歩行可能であった.嚥下障害遷延例の4例は全て延髄外側の内側部を病巣に含んでいた.また,嚥下障害遷延例4例のうち3例が椎骨動脈解離であった.嚥下障害が重度な場合,椎骨動脈解離の可能性が高いことが示唆された.椎骨動脈解離では頭頚部の安静は厳重になされるべきであり,延髄外側梗塞ではリハビリテーションも含め,病因に基づいた治療を行うことが必要である.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.3.2_10