S状結腸gastrointestinal stromal tumor (GIST)にS状結腸癌を合併した1例

症例は69歳の男性.平成15年6月6日から,他院で診断された左肺癌に対して放射線化学療法を施行していたが, 6月24日ごろより粘血便が出現した.腹部に所見はみられず,大腸内視鏡検査で直腸Rs内に球状の腫瘤を認め,生検では壊死組織であった.腸重積発症の恐れがあるため,平成15年8月22日にS状結腸切除術を施行した.手術所見ではS状結腸が直腸Rs内に陥入して重積様の所見を呈していた.切除標本ではS状結腸内腔に著明に突出した球状腫瘍を認め,その口側に2型進行癌が隣接して存在していた.球状腫瘤は組織学的に紡錐形細胞が索状配列しており,隣接するS状結腸浸潤癌近傍の粘膜下から発生し,これを押し上げていると...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 11; pp. 2981 - 2986
Main Authors 山本, 直人, 赤池, 信, 斉藤, 洋茂, 五代, 天偉, 杉政, 征夫, 武宮, 省治
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2004
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は69歳の男性.平成15年6月6日から,他院で診断された左肺癌に対して放射線化学療法を施行していたが, 6月24日ごろより粘血便が出現した.腹部に所見はみられず,大腸内視鏡検査で直腸Rs内に球状の腫瘤を認め,生検では壊死組織であった.腸重積発症の恐れがあるため,平成15年8月22日にS状結腸切除術を施行した.手術所見ではS状結腸が直腸Rs内に陥入して重積様の所見を呈していた.切除標本ではS状結腸内腔に著明に突出した球状腫瘍を認め,その口側に2型進行癌が隣接して存在していた.球状腫瘤は組織学的に紡錐形細胞が索状配列しており,隣接するS状結腸浸潤癌近傍の粘膜下から発生し,これを押し上げていると考えられた.免疫染色ではc-kit, CD34, SMA, S100ともに陰性であり広義のGISTと診断された.結腸GISTの報告例は20例と少なく,さらにこのような肉眼形態は非常に稀であるため,本邦報告例の集計とともに報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2981