Ceftazidimeの安全性に関する研究 (III) ラットにおける慢性毒性試験

Ceftazidime (CAZ. SN 401) の, 0.05, 0.1, 0.3および1.0g/kgをSD系ラットに26週間腹腔内投与し慢性毒性試験 (13週間途中検査と13週間休薬試験を含む) を行ない, 以下の結果を得た。 1. Ceftazidimeの投与直後に検体の刺激によると思われる腹部伸展が投与各群に認められた。なお, 偶発例ではあるが, 雌の1.0g/kg群で死亡例が2例 (投与後136日および休薬後82日) みられた。 2. 投与期間中, 雌の0.3g/kg以上の群で体重増加の抑制がみられた。休薬後も同群の平均体重は対照群の水準にまで達しなかったが, 体重増加量は対照群と...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 31; no. Supplement3; pp. 864 - 894
Main Authors 三好, 幸二, 長谷川, 隆司, 野村, 章, 仲吉, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.10.1983
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Summary:Ceftazidime (CAZ. SN 401) の, 0.05, 0.1, 0.3および1.0g/kgをSD系ラットに26週間腹腔内投与し慢性毒性試験 (13週間途中検査と13週間休薬試験を含む) を行ない, 以下の結果を得た。 1. Ceftazidimeの投与直後に検体の刺激によると思われる腹部伸展が投与各群に認められた。なお, 偶発例ではあるが, 雌の1.0g/kg群で死亡例が2例 (投与後136日および休薬後82日) みられた。 2. 投与期間中, 雌の0.3g/kg以上の群で体重増加の抑制がみられた。休薬後も同群の平均体重は対照群の水準にまで達しなかったが, 体重増加量は対照群と差がなかった。また, 投与期間中, 雌雄の0.3g/kg以上の群で水消費量の増加がみられ, 雄の1.0g/kg群では休薬後もこの増加が継続した。 3. 投与終了時に雄の0.3g/kg以上の群で赤血球数, ヘログロピン量とヘマトクリット値の減少および網状赤血球比率の上昇がみられたが, 休薬によりこれらの変化は消失した。 4. 投与終了時に雄の0.3g/kg以上の群と雌の1.0g/kg群で総コレステロール値の増加および雄の1.0g/kg群で総蛋白量とアルブミン量の減少がみられたが, 休薬によりこれらの変化は消失した。 5. 投与終了時に雌雄の0.3g/kg以上の群で腎臓 (雄では0.1g/kg以上) と肝臓の, 雌雄投与各群で盲腸の重量増加がみられ, 休薬後にも雄では同様の変化がみられたが対照群との差は小さくなった。 6. 投与終了時に雄の0.1g/kg以上の群で近位尿細管上皮の局所壊死, 近位尿細管上皮内好酸性顆粒の増加, 尿細管の拡張, 尿細管上皮内の黄色色素の増加, 尿細管上皮の過形成およびポーマンのうの肥厚が認められた。雌では0.3g/kg以上の群で黄色色素の増加がみられたのみであった。しかし, 休薬によりこれらの雌雄での所見はすべて軽減あるいは消失した。 7. 微細形態学的所見では, 0.1g/kg以上の群で近位尿細管上皮内の封入体の増加がみられた。しかし, 休薬によりこの所見は軽減した。 8. 以上の成績から本試験におけるCeftazidimeの最大無作用量を0.05g/kg/dayと判断した。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.31.Supplement3_864