Azthreonam (SQ 26, 776) の安全性研究 (第2報) ラットにおける静脈内投与による亜急性毒性試験

モノバクタム系抗生物質であるAzthreonam (以下AZT) の35日間静脈内投与による亜急性毒性試験をSDラットを用いて行なった。AZT投与により100mg/kg以上で盲腸, 肝臓重量の増加, 血清GOT活性の低下, 270mg/kg以上で一過性の軟便および黄色便, 750mg/kg以上て血清GPT活性の低下, 脾臓相対重量の増加が認められた。2,000mg/kgではこれらの他に投与直後一過性の四肢および顔面の腫脹, 四肢および耳介の発赤, 鎮静あるいは腹臥などが観察され, 摂水量の増加, 赤血球数および血色素量の低下が認められた。 病理組織学的検査では270mg/kg以上で肝細胞の肥大...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 33; no. Supplement1; pp. 149 - 168
Main Authors 川崎, 一, 三好, 幸二, 宇田, 文昭, 野村, 章, 平尾, 地恵見, 仲吉, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.04.1985
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Summary:モノバクタム系抗生物質であるAzthreonam (以下AZT) の35日間静脈内投与による亜急性毒性試験をSDラットを用いて行なった。AZT投与により100mg/kg以上で盲腸, 肝臓重量の増加, 血清GOT活性の低下, 270mg/kg以上で一過性の軟便および黄色便, 750mg/kg以上て血清GPT活性の低下, 脾臓相対重量の増加が認められた。2,000mg/kgではこれらの他に投与直後一過性の四肢および顔面の腫脹, 四肢および耳介の発赤, 鎮静あるいは腹臥などが観察され, 摂水量の増加, 赤血球数および血色素量の低下が認められた。 病理組織学的検査では270mg/kg以上で肝細胞の肥大, 750mg/kg以上で腎近位尿細管上皮細胞の空胞化, 赤脾髄での髄外造血の活性化, 白脾髄の増生および反応中心の活性化が認められた。2,000mg/kg群の微細形態学的検査では肝細胞で脂肪滴とライソゾーム様顆粒の増加, 腎近位尿細管細胞にライソゾーム様顆粒の増加と細胞質内の空胞が認められた。なお, 750mg/kg群では雄20例中1例, 2,000mg/kg群では雄20例中8例, 雌20例中9例が途中死亡したが, いずれも大量の検体の静注投与による循環不全が原因であった。投与試験群で認められた検体の影響は5週間の休薬により回復ないしは回復傾向を示した。また, 270mg/kg以下では検体の毒性作用に起因すると考えられる所見は認められず, 本実験条件下における毒性作用のない無影響量は270mg/kgと推定された。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.33.Supplement1_149