Cefoperazone (T-1551) に関する基礎的研究 臨床分離株感受性ならびに家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行
新cephaiosporin剤cefoperazone (CPZ, T-1551) は, 抗菌域が広く, Pseudomonas aeruginosa, Serratia marcescensなどに対してもすぐれた抗菌力を示し, 安全性も高いといわれる。 われわれは, 小児に試用するに先立って, まず本剤の臨床分離株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) および家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行について検討した。 Staphylococcus aureus 15株に対する本剤のMICは, cefazolinより2管程度高かったが, グラム陰性桿菌に対しては, すべての菌種において本剤の...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 28; no. Supplement6; pp. 575 - 583 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
25.10.1980
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ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1953.28.Supplement6_575 |
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Summary: | 新cephaiosporin剤cefoperazone (CPZ, T-1551) は, 抗菌域が広く, Pseudomonas aeruginosa, Serratia marcescensなどに対してもすぐれた抗菌力を示し, 安全性も高いといわれる。 われわれは, 小児に試用するに先立って, まず本剤の臨床分離株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) および家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行について検討した。 Staphylococcus aureus 15株に対する本剤のMICは, cefazolinより2管程度高かったが, グラム陰性桿菌に対しては, すべての菌種において本剤の方がすぐれていた。ただし, 本剤の方が接種菌量の影響を強く受けた。各菌種の被検株数と接種菌量106/mlにおけるMIC分布のピークは, E.coli (32株) 0.1~0.8μg/ml, Salmonella typhi (3株) 0.4μg/ml, Salmnella Group B (1株) 0.8μg/ml, Klebsiella pneumoniae (5株) 0.4μg/ml, Klebsiella oxytoca (43株) 0.8~1.6μg/ml, Proteus mirabilis (8株) 0.8~3.1μg/ml, Proteus vulgaris (1株) 6.3μg/ml, Proteus morganii (2株) 0.8~1.6μg/ml, Proteus rettgeri (1株) 25μg/ml, Enterobacter (3株) 0.8~50μg/ml, Citrobacter (2株) 1.6~3.1μg/ml, Semtia marcescens (5株) 0.8~3.1μg/ml, Pseudomnas aeruginosa (10株) 3.1μg/mlであった。 黄色ブドウ球菌性髄膜炎家兎6羽に本剤100mg/kgを1回one shot静注し, 30分ごとに血中, 髄液中濃度を測定した成績では, 髄液中濃度のピークは1時間にあり, 6.7±1,39μg/ml, 髄液血清比百分率は6.4%であった。 別の髄膜炎家兎5羽に同じく100mg/kgをone shot静注し, 2時間まで15分こ1と8回, ついで30分ごと2回, 計10回血中, 髄液中濃度を測定, その成績から本剤のphamlacokineticsを検討した。5羽のうち2羽の家兎では非常に高い髄液中濃度が得られた。他の3羽の成績を平均すると, 髄液中濃度のピークは45分にあり, 6.57±0.66μg/ml, 3時間までの髄液中濃度曲線下面積 (AUC) は666.68min・μg/ml, AUC髄液血清比百分率は13.7%, 髄液中濃度半減時間 (T1/2) は54.2分, T1/2髄液血清比は1.31で, 既報のpenicillin G, methiciliin, cephalothinよりすぐれ, ampicillin, cefazolinにほぼ匹敵するものと考えられた。 本剤の蛋白結合率は, 人, 家兎ともに, 約86%と, cephalosporin剤中cefazolinについで高い。今までの成績と総合すると, 髄液中移行の難易は, cephalosporin剤においては蛋白結合率と必ずしも相関しないことが示唆され, また髄液中からの抗生剤の消失速度と蛋白結合率には関係がないことが立証されたことになる。 以上の成績は, 本剤が人の化膿性髄膜炎の治療においても有用なことを推測させるものであるが, 髄液中移行と抗菌力との関連からみると, 本剤の適応となる髄膜炎は, 第一にHaemophilus influenzaeによるものであり, 他のグラム陰性桿菌性髄膜炎においては, 本剤はMIC判明後の第2次選択剤または併用剤としての位置を占めるものであろう。これらの点をふまえて今後の本症に対する臨床検討を行なうべきであると考えられる。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.28.Supplement6_575 |