ヨウ素触媒によるビニルモノマーのカチオン重合におけるモノマー移動定数および停止定数

ヨウ素を触媒としてp-メトキシスチレン (p-MeOSt), およびイソブチルビニルエーテル (IBVE) のカチオン重合を行ない, モノマー移動定数 (ktm) および見かけの1分子移動および停止定数 (kt') を測定した。その結果, 次のことが見出された。i) 生長速度定数 (kp) と同様に, ktmおよびkt'は重合系の誘電率の増加とともに増加する。ii) 電子供給性の大きい置換基をもつモノマーは, kpもktmも大きい値を示す。iii) 触媒として強いルイス酸を用いると, kpもktmもともに大となる。iv) 硫酸触媒によるスチレンの重合と比較して, ヨウ素触媒...

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Published in高分子化學 Vol. 23; no. 250; pp. 114 - 118
Main Authors 東村, 敏延, 加納, 夏樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 25.02.1966
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Summary:ヨウ素を触媒としてp-メトキシスチレン (p-MeOSt), およびイソブチルビニルエーテル (IBVE) のカチオン重合を行ない, モノマー移動定数 (ktm) および見かけの1分子移動および停止定数 (kt') を測定した。その結果, 次のことが見出された。i) 生長速度定数 (kp) と同様に, ktmおよびkt'は重合系の誘電率の増加とともに増加する。ii) 電子供給性の大きい置換基をもつモノマーは, kpもktmも大きい値を示す。iii) 触媒として強いルイス酸を用いると, kpもktmもともに大となる。iv) 硫酸触媒によるスチレンの重合と比較して, ヨウ素触媒によるkpおよびktmの活性化エネルギーは小さい。これらの結果より, ヨウ素触媒におけるモノマー移動反応もハロゲン化金属触媒について提出された機構と同様の機構で説明されること, kt'に関与する反応は負イオンの付加よりもむしろ生長カルボニウムイオンからのプロトンの脱離反応が支配的であることが推定された。
ISSN:0023-2556
1884-8079
DOI:10.1295/koron1944.23.114