立体規則性ポリエチルおよびポリイソブチルメタクリレートの誘電的性質

立体規則性ポリエチルおよびポリイソプチルメタクリレートの誘電測定を周波数106~10-4Hzの範囲にわたり, 温度0~150℃の範囲で行なった。syndiotactic試料ではそれぞれ主鎖および側鎖に帰属されるαおよびβ緩和過程が観測されたが, isotactic試料では主鎖の運動に基く単一の緩和過程しか認められなかった。isotactic試料でβ緩和過程が観測されないのは, 側鎖のエステルアルキル基の運動の自由度がsyndiotactic試料のそれに比べて小さいためと考えられる。α緩和過程の緩和時間の温度依存性はパラメーターC1とC2を適当に選ぶとWLF式でうまく表現できた。得られたパラメー...

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Published in高分子化學 Vol. 26; no. 289; pp. 358 - 363
Main Authors 神藤, 平三郎, 村上, 一郎, 山村, 等
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 25.05.1969
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Summary:立体規則性ポリエチルおよびポリイソプチルメタクリレートの誘電測定を周波数106~10-4Hzの範囲にわたり, 温度0~150℃の範囲で行なった。syndiotactic試料ではそれぞれ主鎖および側鎖に帰属されるαおよびβ緩和過程が観測されたが, isotactic試料では主鎖の運動に基く単一の緩和過程しか認められなかった。isotactic試料でβ緩和過程が観測されないのは, 側鎖のエステルアルキル基の運動の自由度がsyndiotactic試料のそれに比べて小さいためと考えられる。α緩和過程の緩和時間の温度依存性はパラメーターC1とC2を適当に選ぶとWLF式でうまく表現できた。得られたパラメーターC1の値はタクチシティにあまり依存しないが, C2の値はisotactic試料に対してかなり小さくなることがわかった。さらにisotactic試料に対する誘電吸収強度はガラス転移温度より少し高い温度でするどい極大値をとる。すなわち, 誘電的転移が観測された。
ISSN:0023-2556
1884-8079
DOI:10.1295/koron1944.26.358