重症心身障害児 (者) における小児科から成人診療科への移行の問題点

「要約」: 「背景」: 医療の進歩により, 成人期まで生存する重症心身障害児(者)(以下, 障害児(者))が増加した. 成人診療科への移行に関する障害児(者)の現状と問題点を検討した. 「対象と方法」: 10歳以上の障害児(者)を対象とし, 生存率, 胃瘻造設・気管切開施行率, 移行を試みた4例の臨床像を検討した. 「結果」: 34例を対象とした. 生存率は思春期以降低下し, 25歳で73.3%だった. 胃瘻造設・気管切開施行率は思春期以降増加し, 25歳時に各々67.3%, 45.4%だった. 移行説明時期は22.6±4.2歳, 説明から移行までは0.4±0.2年だった. 円滑に移行できなか...

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Published in東邦医学会雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 149 - 155
Main Authors 伊藤駿, 麻生敬子, 松裏裕行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東邦大学医学会 01.12.2023
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ISSN0040-8670

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Summary:「要約」: 「背景」: 医療の進歩により, 成人期まで生存する重症心身障害児(者)(以下, 障害児(者))が増加した. 成人診療科への移行に関する障害児(者)の現状と問題点を検討した. 「対象と方法」: 10歳以上の障害児(者)を対象とし, 生存率, 胃瘻造設・気管切開施行率, 移行を試みた4例の臨床像を検討した. 「結果」: 34例を対象とした. 生存率は思春期以降低下し, 25歳で73.3%だった. 胃瘻造設・気管切開施行率は思春期以降増加し, 25歳時に各々67.3%, 45.4%だった. 移行説明時期は22.6±4.2歳, 説明から移行までは0.4±0.2年だった. 円滑に移行できなかった1例では, 移行前に病状の進行を把握している医療者が少なく, 胃瘻造設後, 訪問看護・診療が可能となった. 「結論」: 障害児(者)は思春期年齢以降に病状が悪化することが多い. 保護者の予後の理解, 病状の安定化や複数の医療者による診療が円滑な移行につながると考えられた.
ISSN:0040-8670