多彩な尿沈査所見が診断につながった急速進行性腎炎症候群のIgA腎症

「抄録」IgA腎症は, 世界でよく見られる糸球体腎炎である. 臨床症候は, 蛋白尿や血症であり, 40%が20年で末期腎不全に至る. 今回の症例で, 以下の2点が示された. (1)半月体形成を伴うIgA腎症によりRPGNの経過をとること, (2)一部にRPGNとしての経過を取るIgA腎症の発見に尿所見が有用であること, の2点である. 「緒言」IgA腎症は, 1968年にフランスのJean Bergerにより報告された. 腎炎徴候を示唆する尿所見を呈し, 優位なIgA沈着を糸球体に認め, その原因となり得る基礎疾患を認めない. 現在, 最も高頻度な原発性糸球体腎炎で, 腎生検により診断される....

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Published in川崎医学会誌 Vol. 42; no. 1; pp. 47 - 50
Main Authors 三宅智雄, 佐々木環, 庵谷千恵子, 依光大祐, 藤本壮八, 柏原直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 2016
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ISSN0386-5924

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Summary:「抄録」IgA腎症は, 世界でよく見られる糸球体腎炎である. 臨床症候は, 蛋白尿や血症であり, 40%が20年で末期腎不全に至る. 今回の症例で, 以下の2点が示された. (1)半月体形成を伴うIgA腎症によりRPGNの経過をとること, (2)一部にRPGNとしての経過を取るIgA腎症の発見に尿所見が有用であること, の2点である. 「緒言」IgA腎症は, 1968年にフランスのJean Bergerにより報告された. 腎炎徴候を示唆する尿所見を呈し, 優位なIgA沈着を糸球体に認め, その原因となり得る基礎疾患を認めない. 現在, 最も高頻度な原発性糸球体腎炎で, 腎生検により診断される. 日本では, 学校や職場の健康診断の検尿検査で多くは発見され, 臨床像は, 無症候性血尿・タンパク尿, あるいは慢性腎炎症候群を呈する. 今回, 急速進行性腎炎症候群(Rapidly Progressive Glomerulonephritis:RPGN)の臨床像を示し, その発見に尿沈渣所見の重要性を認識した症例を経験した.
ISSN:0386-5924