「小児急性中耳炎診療ガイドライン」の検討

[はじめに] 2006年, 日本耳科学会, 日本小児耳鼻咽喉科学会, 日本耳鼻咽喉科感染症研究会から「小児急性中耳炎診療ガイドライン」1)が正式に発表された. 本ガイドラインの大きな特徴は, 臨床症状ならびに鼓膜所見から中耳炎の重症度を決定し, この重症度別に異なった治療方法が提供され, 基本的に第一選択抗菌薬としてアモキシシリン(AMPC; amoxicillin)が推奨されている点である. 近年, 我が国において小児急性中耳炎の難治化が深刻化し, 不適切な抗菌薬使用, 特にセフェム系抗菌薬の乱用が招いた中耳炎起炎菌の薬剤耐性化がその大きな原因として指摘されてきた2)~4). 従って, 本ガ...

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Published inOtology Japan Vol. 17; no. 2; pp. 118 - 123
Main Authors 林達哉, 安部裕介, 上田征吾, 大高隆輝, 坂東伸幸, 片田彰博, 原渕保明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳科学会 25.05.2007
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ISSN0917-2025

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Summary:[はじめに] 2006年, 日本耳科学会, 日本小児耳鼻咽喉科学会, 日本耳鼻咽喉科感染症研究会から「小児急性中耳炎診療ガイドライン」1)が正式に発表された. 本ガイドラインの大きな特徴は, 臨床症状ならびに鼓膜所見から中耳炎の重症度を決定し, この重症度別に異なった治療方法が提供され, 基本的に第一選択抗菌薬としてアモキシシリン(AMPC; amoxicillin)が推奨されている点である. 近年, 我が国において小児急性中耳炎の難治化が深刻化し, 不適切な抗菌薬使用, 特にセフェム系抗菌薬の乱用が招いた中耳炎起炎菌の薬剤耐性化がその大きな原因として指摘されてきた2)~4). 従って, 本ガイドラインにはその普及を通じて, 適正な抗菌薬使用法の普及に貢献するという大きな役割が期待される. 本研究の目的は実地臨床で本ガイドラインを使用し, その結果からガイドラインの妥当性と課題を明らかにすることである.
ISSN:0917-2025