原発不明上顎未分化多形肉腫の1例

「緒言」 軟部腫瘍の組織分類は大きく変化しており, 2013年に改訂されたWHO分類では形態分類を中心にした分類から分子生物学的知見に基づいた分化細胞, 形質を盛り込んだ分類となった. 従来の悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma: MFH)の概念は完全に消失してしまい, 未分化多形肉腫(undifferentiated pleomorphic sarcoma: UPS)と分類された. UPSは中高年の四肢, 体幹や後腹膜の軟部組織に好発し, 頭頸部領域での発生は比較的希で全体の3~10%といわれている. 再発・転移の頻度も高く, 2年生存率が50~6...

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Published in神奈川歯学 Vol. 56; no. 1; pp. 37 - 44
Main Authors 岩瀬博建, 石川美香, 加藤洋史, 佐々木忠昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.06.2021
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Summary:「緒言」 軟部腫瘍の組織分類は大きく変化しており, 2013年に改訂されたWHO分類では形態分類を中心にした分類から分子生物学的知見に基づいた分化細胞, 形質を盛り込んだ分類となった. 従来の悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma: MFH)の概念は完全に消失してしまい, 未分化多形肉腫(undifferentiated pleomorphic sarcoma: UPS)と分類された. UPSは中高年の四肢, 体幹や後腹膜の軟部組織に好発し, 頭頸部領域での発生は比較的希で全体の3~10%といわれている. 再発・転移の頻度も高く, 2年生存率が50~60%, 5年生存率で48%と報告されている. 遠隔転移の大半は肺で, リンパ節などへの転移は比較的少ないとされている. また顎骨原発での再発・転移も同様の報告をみる. 他部位から口腔領域へ転移した症例も報告されている. 今回われわれは口腔内症状を初発症状とした原発巣が明らかで無い上顎歯肉に発生した未分化多形肉腫の1例を経験したので報告する.
ISSN:0454-8302