胆嚢良性腫瘍-自験2例と本邦報告例について
胆嚢の良性腫瘍の2例を報告した. 2例とも乳頭状腺腫であったが, うち1つに悪性変化を認めた. 本邦報告例を集計し, 文献的考察を加えた. 本症は30~60歳の女性に多く, 前癌状態と考えられ, 胆嚢摘出術が良い適応と考えられる.「はじめに」胆嚢の原発性腫瘍は比較的まれであり, そのうちのほとんどが癌腫で占められている. したがって, 胆嚢に発生する良性腫瘍はきわめて少なく, そのうえ偶然の機会に発見されることが多かったが, 最近では種々の新しい検査法の発達により, 術前に診断される症例も増加してきている. 今回, われわれは胆嚢良性腫瘍の2例を経験し, そのうち1例は悪性変化を伴っていた....
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Published in | 川崎医学会誌 Vol. 9; no. 1; pp. 78 - 85 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
川崎医学会
30.05.1983
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ISSN | 0386-5924 |
DOI | 10.11482/KMJ-J9(1)78 |
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Summary: | 胆嚢の良性腫瘍の2例を報告した. 2例とも乳頭状腺腫であったが, うち1つに悪性変化を認めた. 本邦報告例を集計し, 文献的考察を加えた. 本症は30~60歳の女性に多く, 前癌状態と考えられ, 胆嚢摘出術が良い適応と考えられる.「はじめに」胆嚢の原発性腫瘍は比較的まれであり, そのうちのほとんどが癌腫で占められている. したがって, 胆嚢に発生する良性腫瘍はきわめて少なく, そのうえ偶然の機会に発見されることが多かったが, 最近では種々の新しい検査法の発達により, 術前に診断される症例も増加してきている. 今回, われわれは胆嚢良性腫瘍の2例を経験し, そのうち1例は悪性変化を伴っていた. この2例の報告とともに胆嚢の良性腫瘍について文献的考察を加え報告する. 症例 症例1 54歳, 女性 主訴:心窩部痛 家族歴, 既往歴:特記すべきことはない. 現病歴:昭和49年頃よりときどき悪心, 嘔吐を伴う心窩部痛があり, 近医で胆道系疾患の疑いの下に経口法による胆嚢造影を受け, 胆嚢陰影が描出されないことを指摘されたが放置していた. 昭和54年8月, 心窩部痛があり, 点滴静注胆道造影を受けたが以前と同様に胆嚢は描出されず, この時は胆石症と診断されている. 昭和55年6月にも同様の症状があり, 手術をすすめられて当科へ紹介入院した. |
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ISSN: | 0386-5924 |
DOI: | 10.11482/KMJ-J9(1)78 |