巨大縦隔腫瘍に対するClam shell及び胸骨釣り上げアプローチ法による可及的摘除例

症例は17歳男性. 2003年7月中旬より, 湿性咳漱および発熱を認め近医受診し, 胸部X線, 胸部CT上前縦隔に巨大な異常陰影を認め, 当院紹介となった. 胸部CT, MRIにて前縦隔に巨大な腫瘍を認め, 経皮生検にても確定診断がつかず, 急速に呼吸状態の悪化を認め, 心タンポナーデをきたした. このため緊急回避的にvolume reductionを目的とした腫瘍摘除術を施行した. 腫瘍があまりにも巨大で正中切開では腫瘍の心臓圧迫による突然死の危険性も高かったため, Clamshellアプローチにより手術を施行した. 術後病理組織診断にて縦隔原発び漫性大細胞型B細胞性悪性リンパ腫と診断された...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 18; no. 4; pp. 582 - 586
Main Authors 三井, 匡史, 高橋, 里美, 保坂, 智子, 箕輪, 宗生, 半田, 政志, 野田, 雅史
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2004
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.18.4_582

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Summary:症例は17歳男性. 2003年7月中旬より, 湿性咳漱および発熱を認め近医受診し, 胸部X線, 胸部CT上前縦隔に巨大な異常陰影を認め, 当院紹介となった. 胸部CT, MRIにて前縦隔に巨大な腫瘍を認め, 経皮生検にても確定診断がつかず, 急速に呼吸状態の悪化を認め, 心タンポナーデをきたした. このため緊急回避的にvolume reductionを目的とした腫瘍摘除術を施行した. 腫瘍があまりにも巨大で正中切開では腫瘍の心臓圧迫による突然死の危険性も高かったため, Clamshellアプローチにより手術を施行した. 術後病理組織診断にて縦隔原発び漫性大細胞型B細胞性悪性リンパ腫と診断された. 術後呼吸循環状態は安定し, 約2週間で化学療法目的にて血液内科転科となった. Clamshe11アプローチは, 巨大縦隔腫瘍に対して安全且つ, 良好な視野がえられ, くわえて術後疼痛も比較的少ないため有用な手術アプローチと思われる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.18.4_582