形成性陰茎硬化症 (Peyronie病) の患者背景と重症化に関連する因子の検討

「要旨」【目的】形成性陰茎硬化症(Peyronie病)は陰茎海綿体白膜に生じた線維性硬結により勃起時痛や陰茎弯曲を呈する比較的稀な疾患である. 本邦では報告が少なくその病態はいまだ不明な点が多い. 今回当院の症例を対象に患者背景の分析と重症化に関連する項目を検討した. 【対象と方法】性機能外来を受診しPeyronie病と診断した119症例を対象とし後ろ向き研究をおこなった. 診療録から患者情報, 身体的所見, 血液データを収集し, 陰茎の弯曲角度が30度未満, 30度以上の2群に分類して比較を行った. 【結果】平均年齢は49.9±12.9歳, 平均陰茎弯曲角度24.6±21.4度, 平均陰茎長...

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Published in日本性機能学会雑誌 Vol. 36; no. 3; pp. 143 - 150
Main Authors 吉村厳, 木村将貴, 柳田和己, 吉田剛大, 坂本昭彦, 萩原奏, 金子智之, 山田幸央, 中川徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本性機能学会 30.12.2021
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ISSN1345-8361

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Summary:「要旨」【目的】形成性陰茎硬化症(Peyronie病)は陰茎海綿体白膜に生じた線維性硬結により勃起時痛や陰茎弯曲を呈する比較的稀な疾患である. 本邦では報告が少なくその病態はいまだ不明な点が多い. 今回当院の症例を対象に患者背景の分析と重症化に関連する項目を検討した. 【対象と方法】性機能外来を受診しPeyronie病と診断した119症例を対象とし後ろ向き研究をおこなった. 診療録から患者情報, 身体的所見, 血液データを収集し, 陰茎の弯曲角度が30度未満, 30度以上の2群に分類して比較を行った. 【結果】平均年齢は49.9±12.9歳, 平均陰茎弯曲角度24.6±21.4度, 平均陰茎長12.3±2.1cmであった. 全例に陰茎硬結を触知した. 発症から薬物療法開始までの平均期間は11.1±16.5ヶ月, 弯曲角度が30度以上の重症例は53例(44.5%)であった. 30度未満および30度以上の2群間で比較したところ, 年齢(46.1 vs 57.1歳), 治療開始までの期間(8.1 vs 15.9ヶ月), Body mass index(BMI)(22.6 vs 23.2kg/m2), 糖尿病の有無(3 vs 13%), 血清クレアチニン(0.88 vs 0.96mg/dL), 国際前立腺症状スコア(4.4 vs 7.2点), 過活動膀胱症状スコア(1.2 vs 2.9点)に有意差をみとめた. さらに多変量解析において高齢であること, 治療開始までの期間が長いこと, 国際前立腺症状スコアにおける蓄尿症状の悪化が重症化のリスク因子であると判明した. 【結語】本邦におけるPeyronie病の臨床像と重症化のリスクファクターを検討し呈示した.
ISSN:1345-8361