体外培養における高等動物細胞に対する金属化合物の影響 第V報 各種重金属化合物抵抗性細胞の細胞間接着性について

チャイニーズ・ハムスター肺由来のDon-6細胞を用いて, Ag2SO4, Cd SO4, CuSO4, ZnSO4の存在下で長期間培養し, これらの金属化合物に対する抵抗性細胞を得たが, そのコロニーの形態は野生株であるDon-6株細胞と比較して, 非常に不規則であり, 一部に盛りあがり, 重なり合った像を呈している。また細胞間の接着性を旋回培養によって形成される再構成組織の直径で比較すると, 対照としたDon-6株細胞とくらべて, Ag+抵抗性細胞はその平均直径が60.0%, Cd++抵抗性細胞は38.5%, Cu++抵抗性細胞は41.8%, Zn++抵抗性細胞は32.1%に低下していること...

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Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 22; no. 3; pp. 392 - 399
Main Authors 兼松, 宣武, 黒田, 行昭, 川原, 春幸
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 歯科基礎医学会 1980
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ISSN0385-0137
DOI10.2330/joralbiosci1965.22.392

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Summary:チャイニーズ・ハムスター肺由来のDon-6細胞を用いて, Ag2SO4, Cd SO4, CuSO4, ZnSO4の存在下で長期間培養し, これらの金属化合物に対する抵抗性細胞を得たが, そのコロニーの形態は野生株であるDon-6株細胞と比較して, 非常に不規則であり, 一部に盛りあがり, 重なり合った像を呈している。また細胞間の接着性を旋回培養によって形成される再構成組織の直径で比較すると, 対照としたDon-6株細胞とくらべて, Ag+抵抗性細胞はその平均直径が60.0%, Cd++抵抗性細胞は38.5%, Cu++抵抗性細胞は41.8%, Zn++抵抗性細胞は32.1%に低下していることが分った。これら細胞のコロニー形態の重積 (pilling up) をともなう乱れ, および細胞間接着性の低下は, 各種重金属抵抗性細胞が悪性転換 (malignant transformation) すなわち癌化している可能性があることを強く示唆している。
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.22.392