強度変調放射線治療を施行した胃MALTリンパ腫の1例
「抄録」 症例は60歳代男性で, 下肢浮腫を主訴に受診. ネフローゼ症候群を認め, 精査の結果, 胃MALTリンパ腫および膜性腎症と診断された. Helicobacter pylori陰性であり, 除菌は行なわず放射線療法の方針となり, 強度変調放射線治療を用いた30.6Gy/17回の全胃照射を施行した. 従来の三次元原体照射と比較し, 強度変調放射線治療を用いることで, 両腎の照射線量を低減できた. 照射後24カ月の時点で, 腫瘍は寛解を維持しており, 放射線治療の副作用による腎機能の低下も認めていない. 強度変調放射線治療を用いた全胃照射は, 安全かつ有用な照射方法と考えられた. 「緒言」...
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Published in | 川崎医学会誌 Vol. 41; no. 1; pp. 27 - 34 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
川崎医学会
2015
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Summary: | 「抄録」 症例は60歳代男性で, 下肢浮腫を主訴に受診. ネフローゼ症候群を認め, 精査の結果, 胃MALTリンパ腫および膜性腎症と診断された. Helicobacter pylori陰性であり, 除菌は行なわず放射線療法の方針となり, 強度変調放射線治療を用いた30.6Gy/17回の全胃照射を施行した. 従来の三次元原体照射と比較し, 強度変調放射線治療を用いることで, 両腎の照射線量を低減できた. 照射後24カ月の時点で, 腫瘍は寛解を維持しており, 放射線治療の副作用による腎機能の低下も認めていない. 強度変調放射線治療を用いた全胃照射は, 安全かつ有用な照射方法と考えられた. 「緒言」 近年放射線治療の技術は目覚ましく進歩している. コンピュータの発展と共にその上で行われるシミュレーション技術の進歩が, 放射線治療計画と照射技術の高精度化を支えている. 近年普及してきた強度変調放射線治療(intensity modulated radiation therapy;IMRT)では, より正確に病変に高線量を与え, 隣接する正常組織へ与える線量を下げることが可能になった. |
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ISSN: | 0386-5924 |