中膜ムコイド変性を認めた椎骨動脈解離性動脈瘤の1例
椎骨脳底動脈系(以下VB)の解離性脳動脈瘤(以下DA)は比較的まれであり, 通常虚血性脳血管障害として発症することが多く, クモ膜下出血(以下SAH)での発症は少ないとされている. さらに, 中膜ムコイド変性を認めた本症の報告は, きわめてまれである. 我々は, SAHで発症し, 剖検にて中膜ムコイド変性が認められた左椎骨動脈のDAの症例を経験したので, 本症例を含め, 頭蓋内のVBに発生したDAにつき, 文献的考察を加え報告する. 症例 <患者>37才, 男性 主訴:頭痛および意識障害 家族歴:父親は高血圧にて治療中, 母親は脳卒中にて死亡している. 既往歴:30才頃より痛風の治...
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Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 26; no. 11; pp. 888 - 894 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科学会
1986
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ISSN | 0470-8105 |
Cover
Summary: | 椎骨脳底動脈系(以下VB)の解離性脳動脈瘤(以下DA)は比較的まれであり, 通常虚血性脳血管障害として発症することが多く, クモ膜下出血(以下SAH)での発症は少ないとされている. さらに, 中膜ムコイド変性を認めた本症の報告は, きわめてまれである. 我々は, SAHで発症し, 剖検にて中膜ムコイド変性が認められた左椎骨動脈のDAの症例を経験したので, 本症例を含め, 頭蓋内のVBに発生したDAにつき, 文献的考察を加え報告する. 症例 <患者>37才, 男性 主訴:頭痛および意識障害 家族歴:父親は高血圧にて治療中, 母親は脳卒中にて死亡している. 既往歴:30才頃より痛風の治療中であり, 35才頃から高血圧を指摘されていたが, 放置していた. 現病歴:1984年11月28日, 突発性の激しい頭痛をきたし, 数時間後には意識障害および呼吸障害が出現したため, 翌日, 某院に入院した. CT scanにてSAHと診断され, 呼吸障害の改善を待ち, 11月30日, 当科に転院となった. |
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ISSN: | 0470-8105 |