ワクチン株ポリオ3型ウイルスにより発症した急性灰白髄炎の1症例

ポリオ・ウイルス感染症は, ポリオ1, 2, 3型ウイルスにより生じるが, 90~95%は不顕性感染であり, 麻痺を生じるのは0.1~0.5%にすぎない1). ポリオ・ウイルスは経口的に体内に侵入し3~35日間の潜伏後, 下痢・感冒様症状あるいは無菌性髄膜炎様症状を呈し, 四肢・体幹に弛緩性麻痺を生じる. わが国では経口生ポリオ・ワクチンの導入により1981年以降は野生株による定型ポリオの発症はなく, ワクチン接種に関連した発生のみが年間0~2症例報告されている1~6). 近年, ポリオ罹患後に長い年月を経て筋力低下, 疲労, 関節痛, 筋痛, 歩行障害などを生じるポリオ後症候群が注目されてき...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 5; pp. 326 - 329
Main Authors 内田真紀子, 蜂須賀研二, 小林昌之, 堂園浩一朗, 田中正一, 緒方甫, 野田昌作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1996
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ISSN0034-351X

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Summary:ポリオ・ウイルス感染症は, ポリオ1, 2, 3型ウイルスにより生じるが, 90~95%は不顕性感染であり, 麻痺を生じるのは0.1~0.5%にすぎない1). ポリオ・ウイルスは経口的に体内に侵入し3~35日間の潜伏後, 下痢・感冒様症状あるいは無菌性髄膜炎様症状を呈し, 四肢・体幹に弛緩性麻痺を生じる. わが国では経口生ポリオ・ワクチンの導入により1981年以降は野生株による定型ポリオの発症はなく, ワクチン接種に関連した発生のみが年間0~2症例報告されている1~6). 近年, ポリオ罹患後に長い年月を経て筋力低下, 疲労, 関節痛, 筋痛, 歩行障害などを生じるポリオ後症候群が注目されてきたが7~11), 一方, ポリオ新鮮例に遭遇する機会はなくなってきた.
ISSN:0034-351X