大腿骨頚部内・外側二重骨折の3例

「はじめに」大腿骨頚部内, 外側二重骨折は, 臨床的に稀であり, 治療に難渋することが多い. 今回われわれは内, 外側二重骨折3例の治療経験を, 文献的考察を加え報告する. 症例 症例1:88歳女性 主訴:左股部痛 現病歴:受傷前は歩行器にて自立歩行可能. トイレにて転倒し, 起立不能となった. 同日近医受診し, 大腿骨頚部骨折の診断にて当科紹介受診. 合併症:急性鬱血性心不全. 低蛋白血症. 初診時単純X線所見にて, 大腿骨転子部4part fracture及び, 頚部内側骨折を認めた. また, 単純X線断層撮影においても大腿骨頭下より遠位での内側骨折を認めた. CTでは, 小転子レベルに,...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 3; pp. 985 - 987
Main Authors 吉田拓也, 浅倉敏明, 田中憲治, 名護秀, 吉田健治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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Summary:「はじめに」大腿骨頚部内, 外側二重骨折は, 臨床的に稀であり, 治療に難渋することが多い. 今回われわれは内, 外側二重骨折3例の治療経験を, 文献的考察を加え報告する. 症例 症例1:88歳女性 主訴:左股部痛 現病歴:受傷前は歩行器にて自立歩行可能. トイレにて転倒し, 起立不能となった. 同日近医受診し, 大腿骨頚部骨折の診断にて当科紹介受診. 合併症:急性鬱血性心不全. 低蛋白血症. 初診時単純X線所見にて, 大腿骨転子部4part fracture及び, 頚部内側骨折を認めた. また, 単純X線断層撮影においても大腿骨頭下より遠位での内側骨折を認めた. CTでは, 小転子レベルに, 頚部内側骨折を示す後方が粉砕された骨頭, および粉砕された大転子, 小転子の転位が認められた. 合併症コントロールに約1ヵ月間を要し, その間鋼線牽引を行った後, 手術侵襲を考慮しGAMMA NAIL法による骨接合術を施行した. 術中, 牽引手術台を用い, 透視下に良好で安定した整復が得られた. 術翌日より起立歩行訓練開始した. 術後6週, 単純X線にてlag screwの過度のtelescopingと, 骨頭内での上方移動を認めた. しかし, 疼痛の訴えは無く, 荷重歩行を継続した. 術後10週めX線にてLag screwのcut-outを認めたが, 歩行器を用いての屋内歩行は可能であった(図1). 症例2:79歳女性. 主訴:左股部痛 合併症:慢性心不全, 一過性脳虚血発作. 現病歴:前医内科入院中, トイレにて転倒受傷, 起立不能となり当科紹介受診.
ISSN:0037-1033