予期せぬ全身麻酔中の致死的不整脈(ブルガダ症候群, QT延長症候群, 冠動脈攣縮) -不整脈の原因と治療法を知ろう

[要旨] 全身麻酔中には, 循環変動や電解質異常など明らかな原因がない場合でも, 予期せぬ致死的不整脈に遭遇することがある. 心室細動や高度の房室ブロック等に対する対処は同じであるが, 致死的不整脈発現の予防や再度致死的不整脈を起こさないための管理は個々の疾患によって異なる場合がある. ここでは, われわれが経験したブルガダ症候群, 二次性QT延長症候群と冠動脈攣縮による致死的不整脈を中心に, それらの疾患の特徴および致死的不整脈の予防と対処について概説したい. 「はじめに」 手術中は, 手術侵襲や出血による循環変動や電解質異常などにより, 特にもともと心疾患を有している場合には致死的な不整脈...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 34; no. 1; pp. 1 - 10
Main Authors 中尾慎一, 冬田昌樹, 塩川泰啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.01.2014
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ISSN0285-4945

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Summary:[要旨] 全身麻酔中には, 循環変動や電解質異常など明らかな原因がない場合でも, 予期せぬ致死的不整脈に遭遇することがある. 心室細動や高度の房室ブロック等に対する対処は同じであるが, 致死的不整脈発現の予防や再度致死的不整脈を起こさないための管理は個々の疾患によって異なる場合がある. ここでは, われわれが経験したブルガダ症候群, 二次性QT延長症候群と冠動脈攣縮による致死的不整脈を中心に, それらの疾患の特徴および致死的不整脈の予防と対処について概説したい. 「はじめに」 手術中は, 手術侵襲や出血による循環変動や電解質異常などにより, 特にもともと心疾患を有している場合には致死的な不整脈が生じることがあるが, 術前に不整脈や心疾患の診断がなされず, 明らかな誘因がない場合にも予期せずに(予期しなければならなかった場合も多いが)致死的な不整脈を経験することがある. 心室細動や高度のブロックなどに対する対処は同じであるが, 致死的な不整脈の発生を防ぐ方法や不整脈を戻した後の管理は原因によって異なることがあり, その病態の特性を知ることが重要である.
ISSN:0285-4945