喉頭麻痺における喉頭所見の有用性

「はじめに」一側喉頭麻痺をきたした喉頭像の形成には, 呼吸機能, 内外の喉頭筋, 周囲組織, 反回神経の過誤支配など多くの要因が関与しているといわれている. すなわち, 喉頭像を形成する喉頭所見には, 固定した声帯の位置のみならず, 健側声帯の過内転, 健側仮声帯の過内転, 声門後部間隙, 患側声帯の弓状変化, 声門の前後径の短縮など様々な変化がみられる. そこで, 日常に観察される喉頭像から病態や治療効果を推測することは可能であるか否か検討した. 「方法」「(1) 対象」2003年12月から2012年12月までの9年間に種々の原因で喉頭麻痺を発症し, 東海大学付属東京病院耳鼻咽喉科で, 声帯...

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Published in喉頭 Vol. 27; no. 1; pp. 1 - 5
Main Authors 田村悦代, 福田宏之, 山田千積, 新美成二, 岡田信也, 渋谷正人, 飯田政弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 01.06.2015
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ISSN0915-6127

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Summary:「はじめに」一側喉頭麻痺をきたした喉頭像の形成には, 呼吸機能, 内外の喉頭筋, 周囲組織, 反回神経の過誤支配など多くの要因が関与しているといわれている. すなわち, 喉頭像を形成する喉頭所見には, 固定した声帯の位置のみならず, 健側声帯の過内転, 健側仮声帯の過内転, 声門後部間隙, 患側声帯の弓状変化, 声門の前後径の短縮など様々な変化がみられる. そこで, 日常に観察される喉頭像から病態や治療効果を推測することは可能であるか否か検討した. 「方法」「(1) 対象」2003年12月から2012年12月までの9年間に種々の原因で喉頭麻痺を発症し, 東海大学付属東京病院耳鼻咽喉科で, 声帯内脂肪注入術を施行し, 経過を1年以上観察できた54例である. いずれも, 一側性の麻痺であり, 男性35例, 女性19例, 麻痺側は, 左側が33例, 右側が21例であった. 声帯内自家脂肪注入術は, 1991年Mikaelianが報告して以降広く普及し報告がされてきた注入療法の一つであるが, われわれは, 2006年より行っている頬部脂肪体を用いた方法を用いた.
ISSN:0915-6127