受傷時に見逃された舟状骨遷延治癒骨折に対して, 低出力超音波パルス(LIPUS)治療を行った1例

受傷時に見逃された舟状骨遷延治癒骨折に対し, 低出力超音波パルス(LIPUS)を併用した保存治療を行った1例を報告する. 症例は, 16歳女性. 3ヵ月前にバレーボールで右手関節を捻り受傷したが, 近医で捻挫と診断された. 1週間のギプス固定を受け一時, 手関節痛は改善したが, 2週間前より疼痛が再発し当科を受診した. 圧痛が嗅ぎタバコ窩(snuff box)にあり舟状骨骨折を疑ったがX線像で骨折を認めず, MRIで骨折が判明した, いわゆる舟状骨不顕性骨折であった. 8週間の保存治療を行うも疼痛の改善なく, thumb spica splintを併用したLIPUS治療を開始し, 8週間で疼痛...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 61; no. 1; pp. 41 - 44
Main Authors 伊佐智博, 安里英樹, 高江洲美香, 大城朋之, 勢理客久, 金谷文則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2012
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ISSN0037-1033

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Summary:受傷時に見逃された舟状骨遷延治癒骨折に対し, 低出力超音波パルス(LIPUS)を併用した保存治療を行った1例を報告する. 症例は, 16歳女性. 3ヵ月前にバレーボールで右手関節を捻り受傷したが, 近医で捻挫と診断された. 1週間のギプス固定を受け一時, 手関節痛は改善したが, 2週間前より疼痛が再発し当科を受診した. 圧痛が嗅ぎタバコ窩(snuff box)にあり舟状骨骨折を疑ったがX線像で骨折を認めず, MRIで骨折が判明した, いわゆる舟状骨不顕性骨折であった. 8週間の保存治療を行うも疼痛の改善なく, thumb spica splintを併用したLIPUS治療を開始し, 8週間で疼痛・圧痛の改善とMRI信号強度の改善を認め, 競技へ復帰した. 受傷後1年11ヵ月のMRI T1強調像で低信号域はほぼ消失し, 疼痛や圧痛, 可動域制限はなく, バレーボールを継続している. 「はじめに」 舟状骨骨折術後の遷延治癒・偽関節に対するLIPUSの有効性は本邦でも報告されているが, 受傷時に見逃され適切な治療を受けずに遷延治癒となった症例に対し, LIPUSが使用された報告は少ない.
ISSN:0037-1033