右手月状骨に発生した骨内ガングリオンの1例

「はじめに」骨内ガングリオンは比較的稀な疾患であり, 中でも月状骨での発生は, われわれの渉猟しえた範囲では本邦で3例, 欧米では5例の報告をみるのみである. われわれはこの1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する, 症例 39歳, 男性 主訴:右手関節痛 既往歴・家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:約2年前より, 誘因なく右手関節部痛が出現, また握力低下を自覚するようになった. 近医にて単純X線上の異常を指摘され平成7年1月10日当科紹介受診した. 初診時所見:右手関節裂隙および月状骨に一致して圧痛を認めた. また, 左の握力は45kg, 右は20kgであり, 掌屈時に手関...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 1; pp. 318 - 321
Main Authors 末永治, 戸田勝, 黒木龍二, 渡辺正一, 田島直也, 松本宏一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」骨内ガングリオンは比較的稀な疾患であり, 中でも月状骨での発生は, われわれの渉猟しえた範囲では本邦で3例, 欧米では5例の報告をみるのみである. われわれはこの1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する, 症例 39歳, 男性 主訴:右手関節痛 既往歴・家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:約2年前より, 誘因なく右手関節部痛が出現, また握力低下を自覚するようになった. 近医にて単純X線上の異常を指摘され平成7年1月10日当科紹介受診した. 初診時所見:右手関節裂隙および月状骨に一致して圧痛を認めた. また, 左の握力は45kg, 右は20kgであり, 掌屈時に手関節痛の訴えがあったが, 可動域に左右差はなかった. 臨床検査成績:血液生化学, 尿検査には異常を認めなかった. X線所見:単純X線および断層では, 右手月状骨掌側よりに, 境界明瞭な径約5mm×7mm大の楕円形の骨透亮像を, また周囲の骨にわずかに硬化像を認めた(図1). MRI所見:T1強調像では筋肉とほぼ同一の信号強度, T2強調は内部が均一な高信号, 周囲は低信号があり, 嚢腫様病変が疑われた(図2).
ISSN:0037-1033