急性膵炎を発症し, 経過を追えた混合型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の一例
「要旨」症例は60歳代, 男性. 2年6ヶ月前に急性膵炎にて入院となり, 保存的加療にて改善した. 膵炎改善後の精査では主膵管拡張(直径3mm)のみであった. 今回, 上腹部痛が出現し, 再精査となった. US, CT, MRCPにて主膵管径の増大(直径4~5mm)を認めたが, 明らかな腫瘤性病変を指摘できなかった. EUSでは体部主膵管内に長径12mm大の低エコー腫瘤を認めた. 内視鏡的に十二指腸主乳頭より粘液排出を認めた. ERPでは主膵管内粘液及び体部主膵管の不整狭窄を認めた. 狭窄部のIDUSでは主膵管及び拡張分枝膵管内に充満する表面乳頭状の低エコー腫瘤を認めた. 混合型IPMNと診断...
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Published in | 膵臓 Vol. 26; no. 4; pp. 555 - 562 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本膵臓学会
2011
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0913-0071 |
Cover
Summary: | 「要旨」症例は60歳代, 男性. 2年6ヶ月前に急性膵炎にて入院となり, 保存的加療にて改善した. 膵炎改善後の精査では主膵管拡張(直径3mm)のみであった. 今回, 上腹部痛が出現し, 再精査となった. US, CT, MRCPにて主膵管径の増大(直径4~5mm)を認めたが, 明らかな腫瘤性病変を指摘できなかった. EUSでは体部主膵管内に長径12mm大の低エコー腫瘤を認めた. 内視鏡的に十二指腸主乳頭より粘液排出を認めた. ERPでは主膵管内粘液及び体部主膵管の不整狭窄を認めた. 狭窄部のIDUSでは主膵管及び拡張分枝膵管内に充満する表面乳頭状の低エコー腫瘤を認めた. 混合型IPMNと診断し, 膵体尾部切除術を施行した. 組織学的には腺腫であった. 画像の再検討では, 初回精査のEUSで体部主膵管内に長径4.5mmの低エコー腫瘤を認識可能であり, doubling timeは212日であった. 「はじめに」膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)は, 一般に無症状で, 膵嚢胞や主膵管拡張を契機に発見されることが多い1, 2). |
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ISSN: | 0913-0071 |