胆嚢神経内分泌癌 (NEC) の1例

「要旨」: 胆嚢神経内分泌癌(Neuroendocrine carcinoma: NEC)は稀な疾患であり, 既報の多くは症例報告にとどまっている. 今回我々は超音波内視鏡下穿刺吸引法でNECと診断し切除標本にて腺癌成分を含まないことを証明しえた純粋な胆嚢NECを経験したので報告する. 画像所見上, MRIの拡散強調画像にて病変部の拡散能の著明な低下がみられ, このことはNECの細胞密度の高さを反映しているものと考えられた. 薬物治療は, 現在までにプラチナ系薬剤を中心とした化学療法の有用性が報告されており本報告でもVP-16, CDDPを用いた化学療法(EP療法)を施行した. 当院では本症例...

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Published in胆道 Vol. 30; no. 2; pp. 290 - 297
Main Authors 堀口繁, 加藤博也, 内田大輔, 秋元悠, 関博之, 友田健, 松本和幸, 山本直樹, 堤康一郎, 植木亨, 岡田裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.05.2016
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ISSN0914-0077

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Summary:「要旨」: 胆嚢神経内分泌癌(Neuroendocrine carcinoma: NEC)は稀な疾患であり, 既報の多くは症例報告にとどまっている. 今回我々は超音波内視鏡下穿刺吸引法でNECと診断し切除標本にて腺癌成分を含まないことを証明しえた純粋な胆嚢NECを経験したので報告する. 画像所見上, MRIの拡散強調画像にて病変部の拡散能の著明な低下がみられ, このことはNECの細胞密度の高さを反映しているものと考えられた. 薬物治療は, 現在までにプラチナ系薬剤を中心とした化学療法の有用性が報告されており本報告でもVP-16, CDDPを用いた化学療法(EP療法)を施行した. 当院では本症例の他に, 腺癌成分を併存する可能性のある胆嚢NECに対してEP療法を施行した2例を経験しており併せて考察を行う. 本疾患は希少疾患のため未だ診断方法, 治療についてコンセンサスを得られておらず, 今後症例の集積を行うことが必要と考えられた.
ISSN:0914-0077