テクミロン糸を用いた環軸椎固定術

「はじめに」不安定性を有する環軸椎亜脱臼の固定法は現在までに様々な方法が考案され報告されている. しかし, 固定材料としてステンレスワイヤーを用いるものがほとんどでありその使用にあたって破損など種々の障害が報告されている2). 今回, 我々はステンレスワイヤーの代わりにテクミロン糸を用い良好な骨癒合を得ることができた2例を経験したので報告する. 症例 症例1 55歳女性主婦, 主訴:意識消失発作・後頭頸部痛・頸椎前屈位のふらつき. 現病歴:約18年前から慢性関節リウマチの診断で近医で加療していた. 平成6年1月5日突然意識消失発作を生じた. 脳梗塞疑いで近医に入院したがその後2回同様の発作が起...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 2; pp. 423 - 426
Main Authors 末廣昌嗣, 近藤正行, 西口雅彦, 北原博之, 手島鍛, 森田馨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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Summary:「はじめに」不安定性を有する環軸椎亜脱臼の固定法は現在までに様々な方法が考案され報告されている. しかし, 固定材料としてステンレスワイヤーを用いるものがほとんどでありその使用にあたって破損など種々の障害が報告されている2). 今回, 我々はステンレスワイヤーの代わりにテクミロン糸を用い良好な骨癒合を得ることができた2例を経験したので報告する. 症例 症例1 55歳女性主婦, 主訴:意識消失発作・後頭頸部痛・頸椎前屈位のふらつき. 現病歴:約18年前から慢性関節リウマチの診断で近医で加療していた. 平成6年1月5日突然意識消失発作を生じた. 脳梗塞疑いで近医に入院したがその後2回同様の発作が起こった. 当院神経内科に紹介され環軸椎亜脱臼による脳底動脈循環不全の診断で当科に紹介された. 現症:後頭頸部痛あり頸椎前屈位でふらつきを生じる. 四肢の知覚障害なく腱反射正常. 筋力低下は関節症状のため明らかでない. RA stage3, class3であった. 術前頸椎動態撮影で前屈位でADIは10mmであり後屈位で整復された(図1-a).
ISSN:0037-1033