鶏肉が原因と推定されたカンピロバクター食中毒事例

「緒言」 近年, 欧米諸国2)のみならず日本においてもカンピロバクターはサルモネラや腸炎ビブリオと並び, 最も注目される食中毒原因菌の1つになり, 食中毒発生件数も増加の傾向にある8). カンピロバクター食中毒の原因食品の中で, 鶏肉は本菌の汚染率が高く, 未加熱または加熱不十分な鶏肉の摂取による事例が多数報告3,5,11)されている. 今回埼玉県で発生した食中毒事例はいずれも鶏肉の不適切な取扱いが原因と考えられたので, その概要を報告する. 「材料および方法」 「1. 事件概要」 「1)事例1」 平成16年10月6日, 県内保健所から「ある医療機関が食中毒患者を診察した」との情報提供があった...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 27 - 30
Main Authors 安藤陽子, 小野一晃, 尾関由姫恵, 杉田英章, 大塚佳代子, 増谷寿彦, 佐藤秀美, 小林留美子, 柳川敬子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 30.04.2006
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ISSN1340-8267

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Summary:「緒言」 近年, 欧米諸国2)のみならず日本においてもカンピロバクターはサルモネラや腸炎ビブリオと並び, 最も注目される食中毒原因菌の1つになり, 食中毒発生件数も増加の傾向にある8). カンピロバクター食中毒の原因食品の中で, 鶏肉は本菌の汚染率が高く, 未加熱または加熱不十分な鶏肉の摂取による事例が多数報告3,5,11)されている. 今回埼玉県で発生した食中毒事例はいずれも鶏肉の不適切な取扱いが原因と考えられたので, その概要を報告する. 「材料および方法」 「1. 事件概要」 「1)事例1」 平成16年10月6日, 県内保健所から「ある医療機関が食中毒患者を診察した」との情報提供があった. 保健所の調査により, 9月29日に市内の飲食店で行われた会社の宴会に出席した10名中5名が10月2日朝から3日未明にかけて発症し, この店以外で共通の食事がないことがわかった. 患者の発症までの潜伏時間は, 約62時間が1名(20%), 約75時間が4名(80%)であり, いずれも水様性下痢4~25回, 発熱38.5~39.7℃, 戦慄などの症状を示していた.
ISSN:1340-8267