急性期脳卒中における反復性経頭蓋磁気刺激 (rTMS) の有効性と役割

「抄録」非侵襲的に脳神経活動性を変化させる反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)は, 脳卒中症状のより本質的な改善を目指す新たなリハビリテーション治療的技術として, 近年著しい発展を遂げている. 慢性期においては, 半球間抑制のバランスを正常化させるニューロモジュレーションを行うことで上肢麻痺が改善することが知られているが, 急性期においては, それに加えて病巣の進展自体を妨げるニューロプロテクション効果があることも示されている. 特に急性期では下肢機能の改善に対する需要が高い. 下肢は同側性支配率の高い近位帯が機能において重要な役割を果たすため, 両側の下肢運動野を共に賦活するような手法も有効であ...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 48; no. 4; pp. 177 - 182
Main Author 佐々木信幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 聖マリアンナ医科大学医学会 2021
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ISSN0387-2289

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Summary:「抄録」非侵襲的に脳神経活動性を変化させる反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)は, 脳卒中症状のより本質的な改善を目指す新たなリハビリテーション治療的技術として, 近年著しい発展を遂げている. 慢性期においては, 半球間抑制のバランスを正常化させるニューロモジュレーションを行うことで上肢麻痺が改善することが知られているが, 急性期においては, それに加えて病巣の進展自体を妨げるニューロプロテクション効果があることも示されている. 特に急性期では下肢機能の改善に対する需要が高い. 下肢は同側性支配率の高い近位帯が機能において重要な役割を果たすため, 両側の下肢運動野を共に賦活するような手法も有効である. またリハビリテーション治療自体への参加が不良な自発性低下を示すような場合には, 内側前頭前皮質から背側前帯状回を賦活するrTMSが有効である. 急性期脳卒中に対するrTMSは, 改善にかかる時間を短縮するというよりも, 最終的な改善度自体を高める可能性が示されている. 安全かつ有効な補助的治療手段と考えられる.
ISSN:0387-2289