ベイズ型age-period-cohort分析を用いた日本の予測平均余命の性差 (2023~2047年)

「はじめに」寿命は, 医学の発展, 医療サービスの向上, 食生活の改善, 生活環境と労働環境の改善, および教育水準の向上などにより延伸する. この延伸は先進諸国, 新興国に共通した特徴として観察されている. 生命表は観察された人口集団の年齢構成には影響を受けない形で, その集団の死亡状況のみを集約し, 生命表から得られる平均余命は死亡改善の過程やその地域格差を比較分析する際に利用される. そのため, 平均余命は集団の包括的な保健福祉水準を示す重要な総合指標として活用できる. 平均余命の経時的な観察は, 保健福祉に関する社会的および政策的な影響を反映する公衆衛生学的な重要な情報を提供する. 日...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 338 - 353
Main Authors 内田博之, 三藤瑠莉, 瓶子英朗, 斎籐雅文, 小田切陽一, 大竹一男, 八巻努, 内田昌希, 夏目秀視, 小林順
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生学会 2018
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ISSN0021-5082

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Summary:「はじめに」寿命は, 医学の発展, 医療サービスの向上, 食生活の改善, 生活環境と労働環境の改善, および教育水準の向上などにより延伸する. この延伸は先進諸国, 新興国に共通した特徴として観察されている. 生命表は観察された人口集団の年齢構成には影響を受けない形で, その集団の死亡状況のみを集約し, 生命表から得られる平均余命は死亡改善の過程やその地域格差を比較分析する際に利用される. そのため, 平均余命は集団の包括的な保健福祉水準を示す重要な総合指標として活用できる. 平均余命の経時的な観察は, 保健福祉に関する社会的および政策的な影響を反映する公衆衛生学的な重要な情報を提供する. 日本の0歳の平均余命は欧米諸国と比較して男女ともにトップクラスであり, 特に女性は世界で最も高値である. 0歳の平均余命の性差(女性と男性の差)は, 日本およびフランスが1990年代初期から2000年代初期にかけて7年前後と大きく, 他の多くの欧米諸国は6年未満であった.
ISSN:0021-5082