単純ヘルペス脳炎の1治験例

単純ヘルペス脳炎(HSE)は死亡率50%以上と言われ27), しかも救命しえても重篤な後遺症を残すことが多く2, 15), 中枢神経系感染症のなかでも特に重要な疾患である. 最近では抗ウィルス剤による治療例の報告が散見されるようになり, 本症の早期診断・早期治療が強調されてきている3, 7, 8, 12, 18, 19, 21-23, 28, 29, 32, 33, 39). 今回我々は, CT所見, 血清および髄液の単純ヘルペスウィルス抗体価の上昇よりHSEと診断し, 治療により臨床症状の改善を認めた症例を経験したので, CT所見・診断治療の面から若干の文献的考察を加え報告する. 症例 &l...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. 10; pp. 821 - 827
Main Authors 笹平正廣, 高木憲一, 橋本和昌, 新井紀元, 永井政勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:単純ヘルペス脳炎(HSE)は死亡率50%以上と言われ27), しかも救命しえても重篤な後遺症を残すことが多く2, 15), 中枢神経系感染症のなかでも特に重要な疾患である. 最近では抗ウィルス剤による治療例の報告が散見されるようになり, 本症の早期診断・早期治療が強調されてきている3, 7, 8, 12, 18, 19, 21-23, 28, 29, 32, 33, 39). 今回我々は, CT所見, 血清および髄液の単純ヘルペスウィルス抗体価の上昇よりHSEと診断し, 治療により臨床症状の改善を認めた症例を経験したので, CT所見・診断治療の面から若干の文献的考察を加え報告する. 症例 <患者>13才, 男子 主訴:発熱, 痙攣, 意識障害 家族歴・既往歴:特記すべきことなし 現病歴:1981年12月14日頃より頭痛が出現し, 12月17日には38℃の発熱, 翌日も頭痛・発熱が続き嘔吐をも伴うようになった. 12月19日午前3時頃全身痙攣が出現し近医に入院したが, その夜より意識障害がみられるようになり, 12月20日当科を紹介され入院となった.
ISSN:0470-8105