若年男子に発症した膵頭部solid-pseudopapillary tumor(SPT)の1例

「和文抄録」症例は18歳の男性. 嘔気・嘔吐を主訴に近医を受診し, 膵頭部腫瘤を指摘され当科へ紹介となった. 膵頭部に82×53mm大の境界明瞭な被膜様被包のある腫瘤があり, 内部に隔壁と石灰化を認めた. 内視鏡的超音波画像下針生検(EUS-FNA)を行い, solid-pseudopapillary tumor(SPT)を疑われ, 十二指腸温存膵頭部切除術を行った. 術後の病理所見では, 多角形の腫瘍細胞が血管間質を伴ってシート状に増生している像や, 毛細血管の芯(core)を有するpseudopapillaryな像も見られSPTと診断した. 術後経過は良好で, 現在術後1年であるが再発所見...

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Published in山口医学 Vol. 60; no. 3; pp. 57 - 62
Main Authors 林雅太郎, 都志見貴明, 竹本圭宏, 原田栄二郎, 榎忠彦, 濱野公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2011
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ISSN0513-1731

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Summary:「和文抄録」症例は18歳の男性. 嘔気・嘔吐を主訴に近医を受診し, 膵頭部腫瘤を指摘され当科へ紹介となった. 膵頭部に82×53mm大の境界明瞭な被膜様被包のある腫瘤があり, 内部に隔壁と石灰化を認めた. 内視鏡的超音波画像下針生検(EUS-FNA)を行い, solid-pseudopapillary tumor(SPT)を疑われ, 十二指腸温存膵頭部切除術を行った. 術後の病理所見では, 多角形の腫瘍細胞が血管間質を伴ってシート状に増生している像や, 毛細血管の芯(core)を有するpseudopapillaryな像も見られSPTと診断した. 術後経過は良好で, 現在術後1年であるが再発所見は認めていない. 本疾患は低悪性度腫瘍と考えられているため, 今回我々が行った十二指腸温存膵頭部切除術のような, 臓器機能を温存した手術のよい適応と考えられる. 「緒言」膵臓のsolid-pseudopapillary tumor(以下, SPT)は若年女性に多い腫瘍で, 比較的予後の良好な腫瘍と考えられている.
ISSN:0513-1731