脳動脈瘤破裂後の急性肺水腫

脳動脈瘤破裂後急性期にみられる肺水腫は頻度の高い合併症ではない. しかしながらいったん本症が発生した場合, 適切な治療が行われないと, 患者はしばしば死の転帰をとる. 今回著者らは, 脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血急性期に発生した肺水腫の3例を経験した. その臨床経過を報告するとともに, 本症の診断, 治療上の問題点について述べたい. 症例および方法 過去3年間に, 当科に救急入院した発症後24時間以内の破裂脳動脈瘤は58例であった. うち3例に, 入院時から臨床的に, あるいは検査所見上肺水腫の所見が認められた. これら3例に対し, 動脈血ガス分析, 胸部X線撮影, 心電図測定, 中心静脈圧...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 21; no. 3; pp. 313 - 320
Main Authors 金弘, 荻原隆二, 冨田伸, 三壁敏雄, 唐沢秀治, 渡辺三郎, 鈴木勝, 長谷川浩一, 坂本修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1981
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Summary:脳動脈瘤破裂後急性期にみられる肺水腫は頻度の高い合併症ではない. しかしながらいったん本症が発生した場合, 適切な治療が行われないと, 患者はしばしば死の転帰をとる. 今回著者らは, 脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血急性期に発生した肺水腫の3例を経験した. その臨床経過を報告するとともに, 本症の診断, 治療上の問題点について述べたい. 症例および方法 過去3年間に, 当科に救急入院した発症後24時間以内の破裂脳動脈瘤は58例であった. うち3例に, 入院時から臨床的に, あるいは検査所見上肺水腫の所見が認められた. これら3例に対し, 動脈血ガス分析, 胸部X線撮影, 心電図測定, 中心静脈圧測定などを経時的に行い, 病態の変化を追跡した. また1例にはSwan-Ganzカテーテルを肺動脈内に留置し, 肺動脈圧の経時的測定, 肺動脈楔入圧の測定をも併せ行った.
ISSN:0470-8105