術前診断し腹腔鏡下脾温存膵尾部切除術を施行し得た小型Solid pseudopapillary neoplasm(SPN)の1例

「要旨」: 症例は39歳男性. 検診の腹部超音波検査で膵尾部に2cm大の腫瘍性病変を指摘された. CTでは辺縁明瞭で淡く造影を受け, MRIではT1WIで低信号, T2WIで軽度高信号, DWIで高信号を示した. FDG-PETにて集積(SUVmax 3.8→4.8)を認めたことから小膵癌を否定できず, 画像診断上鑑別が困難であったため, EUS-FNAを施行した. 病理組織所見および免疫組織所見よりSPNと診断し, 腹腔鏡下脾温存膵尾部切除を施行した. 一般的にSPNは若年女性に多く, しばしば石灰化を伴う厚い被膜を有し, 内部に出血や壊死を伴う嚢胞性病変であることが特徴とされているが, 小...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in膵臓 Vol. 28; no. 4; pp. 565 - 570
Main Authors 山添定明, 清水貞利, 中島隆善, 大平豪, 高台真太郎, 金沢景繁, 塚本忠司, 山本篤, 山下好人, 西口幸雄, 丸山紘嗣, 山崎智朗, 根引浩子, 福島裕子, 井上健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.08.2013
Online AccessGet full text
ISSN0913-0071

Cover

More Information
Summary:「要旨」: 症例は39歳男性. 検診の腹部超音波検査で膵尾部に2cm大の腫瘍性病変を指摘された. CTでは辺縁明瞭で淡く造影を受け, MRIではT1WIで低信号, T2WIで軽度高信号, DWIで高信号を示した. FDG-PETにて集積(SUVmax 3.8→4.8)を認めたことから小膵癌を否定できず, 画像診断上鑑別が困難であったため, EUS-FNAを施行した. 病理組織所見および免疫組織所見よりSPNと診断し, 腹腔鏡下脾温存膵尾部切除を施行した. 一般的にSPNは若年女性に多く, しばしば石灰化を伴う厚い被膜を有し, 内部に出血や壊死を伴う嚢胞性病変であることが特徴とされているが, 小さなSPNは石灰化や嚢胞を伴わないことが多いことから典型的な画像所見を呈さず, PETでも集積亢進を伴う頻度が高いという報告もあり, その場合膵癌との鑑別が困難となる. 今回, 画像上鑑別診断が困難であった小型SPNをEUS-FNAで術前診断し, 腹腔鏡下手術を施行し得た1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0913-0071