誘発耳音響放射の個体差に関する研究

「はじめに」 誘発耳音響放射(evoked otoacoustic emission以下e-OAEと略)は, 外有毛細胞機能に密接な関連を有する蝸牛内微小機械系振動の外・中耳への投影と考えられ1)2), 外有毛細胞機能の他覚的検査法の一つとして臨床応用が検討されている. しかし, e-OAEは左右差が小さいものの個体差が大きい3)ことが知られており, このことが臨床応用上の最も大きな問題点の一つと考えられている. e-OAEの測定を臨床検査法の一つとして規格化するためには, まずこの点を明らかにする必要がある. そのような観点から著者は, 1988年Kemp&Brayが製作したe-OA...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 95; no. 2; pp. 239 - 315
Main Authors 遠藤芳彦, 立木孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.02.1992
Online AccessGet full text
ISSN0030-6622

Cover

More Information
Summary:「はじめに」 誘発耳音響放射(evoked otoacoustic emission以下e-OAEと略)は, 外有毛細胞機能に密接な関連を有する蝸牛内微小機械系振動の外・中耳への投影と考えられ1)2), 外有毛細胞機能の他覚的検査法の一つとして臨床応用が検討されている. しかし, e-OAEは左右差が小さいものの個体差が大きい3)ことが知られており, このことが臨床応用上の最も大きな問題点の一つと考えられている. e-OAEの測定を臨床検査法の一つとして規格化するためには, まずこの点を明らかにする必要がある. そのような観点から著者は, 1988年Kemp&Brayが製作したe-OAE簡易測定装置ILO88を用いて, 聴力正常耳を対象にe-OAEを記録し, e-OAEの個体差, およびその原因となる要素について検討した. 「対象並びに方法」 対象は, 鼓膜所見正常でティンパノグラムA型, 純音オージオグラムで全周波数20dB以下の聴力正常者161名227耳である.
ISSN:0030-6622