中高年者の膝半月板断裂の治療成績の検討

「はじめに」中高年者の膝半月板断裂は変性による断裂が多く明らかな外傷がなく起こる. 歩行, 階段昇降時痛, 立ち上がり時の痛み, 正座時の痛みなどを多く訴え, 10ckingは稀で, また, giving wayもあまり起こらないので, 変形性膝関節症による疼痛と鑑別する事が困難なことが多い. 著者らは, X線で関節症変化が強くとも問診, 理学的所見, 画像所見等により半月板由来の症状かどうか, 関節鏡視下手術の適応かどうかの判断を下している. 今回は40歳以上の膝半月板断裂例の治療成績を関節軟骨の変性所見と対比させ文献的に考察を加えて報告する. 対象 1995年4月から1996年3月までに膝...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 3; pp. 602 - 604
Main Authors 中村克巳, 弓削大四郎, 三村寛, 酒井和裕, 貴船雅夫, 伊達武利, 辻本律, 白倉祥晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1997
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Summary:「はじめに」中高年者の膝半月板断裂は変性による断裂が多く明らかな外傷がなく起こる. 歩行, 階段昇降時痛, 立ち上がり時の痛み, 正座時の痛みなどを多く訴え, 10ckingは稀で, また, giving wayもあまり起こらないので, 変形性膝関節症による疼痛と鑑別する事が困難なことが多い. 著者らは, X線で関節症変化が強くとも問診, 理学的所見, 画像所見等により半月板由来の症状かどうか, 関節鏡視下手術の適応かどうかの判断を下している. 今回は40歳以上の膝半月板断裂例の治療成績を関節軟骨の変性所見と対比させ文献的に考察を加えて報告する. 対象 1995年4月から1996年3月までに膝半月板断裂のため関節鏡を行った40歳以上の症例は36例43膝である. 年齢は40歳から75歳, 平均57歳である. 男性は17膝, 女性は26膝である. 症状は43膝とも階段昇降時, 立ち上がり時, しゃがみ込み時, 正座時, 仕事後の痛みなど, 疼痛が主訴であった. 半月板損傷に比較的特異的なものとしては, 引っかかる感じ8膝, クリック, 音がする6膝, giving way4膝, 歩行時荷重すると痛い2膝, に見られた. 治療は全例半月板部分切除を行っているが, その他には必要に応じ, 剥離軟骨の切除, 棚切除, 滑膜切除, 遊離体摘出, 顆間窩, 顆間隆起の骨棘切除を行っている.
ISSN:0037-1033