多発性脳結核腫の1例

抗結核剤の進歩と予防衛生の改善などにより, 結核罹病率は近年著しく低下し, それに対応して脳結核腫も本邦ではまれな疾患となっている. 最近我々は, 結核性脳膿瘍を伴った多発性脳結核腫の1例を経験したので, CT所見・治療法などを中心に若干の文献的考察を加え報告する. 症例 <患者>67才, 女性 既往歴・家族歴:特記すべきことなし 現病歴:1982年7月中旬より, 咳・疾・発熱が出現し, 胸部X線および喀痰検査にて肺結核症と診断され, 県立の結核専門病院に入院した. 抗結核剤(SM, INH, RFPの3者併用)投与により, 9月上旬には当初みられた排菌もなくなり胸部陰影の改善を認...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 24; no. 12; pp. 958 - 962
Main Authors 斉藤昭人, 桑名信匡, 持松泰彦, 田中直樹, 所和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1984
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ISSN0470-8105

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Summary:抗結核剤の進歩と予防衛生の改善などにより, 結核罹病率は近年著しく低下し, それに対応して脳結核腫も本邦ではまれな疾患となっている. 最近我々は, 結核性脳膿瘍を伴った多発性脳結核腫の1例を経験したので, CT所見・治療法などを中心に若干の文献的考察を加え報告する. 症例 <患者>67才, 女性 既往歴・家族歴:特記すべきことなし 現病歴:1982年7月中旬より, 咳・疾・発熱が出現し, 胸部X線および喀痰検査にて肺結核症と診断され, 県立の結核専門病院に入院した. 抗結核剤(SM, INH, RFPの3者併用)投与により, 9月上旬には当初みられた排菌もなくなり胸部陰影の改善を認めたが, 9月中旬より頭痛・嘔気とともに見当識障害・尿失禁・構音障害・左半身不全麻痺などが出現してきた. 9月28日, CTスキャンにて多発性頭蓋内占拠性病変が疑われ, 精査および治療目的にて10月4日当科入院となった.
ISSN:0470-8105