十二指腸乳頭部癌術後, 異時性臍転移 (Sister Mary Joseph's nodule) の1切除例
「要旨」: 悪性腫瘍による臍転移(Sister Mary Joseph's nodule; SMJN)は比較的稀な転移形式であり, 中でも胆道癌からの転移は極めて稀である. 今回我々は十二指腸乳頭部癌術後の異時性SMJNを経験したので報告する. 症例は66歳, 女性. 64歳の時に十二指腸乳頭部癌で膵頭十二指腸切除術を施行した. 術後1年3カ月目に, CTでNo9リンパ節の腫脹を認めた. PET-CTでもFDGの集積がありNo9リンパ節転移と診断した. 全身化学療法後に再評価したところ, No9リンパ節転移の他に1cm大の臍部腫瘤が指摘された. 好中球減少のため化学療法継続が困難であ...
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Published in | 胆道 Vol. 30; no. 2; pp. 298 - 303 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本胆道学会
31.05.2016
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ISSN | 0914-0077 |
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Summary: | 「要旨」: 悪性腫瘍による臍転移(Sister Mary Joseph's nodule; SMJN)は比較的稀な転移形式であり, 中でも胆道癌からの転移は極めて稀である. 今回我々は十二指腸乳頭部癌術後の異時性SMJNを経験したので報告する. 症例は66歳, 女性. 64歳の時に十二指腸乳頭部癌で膵頭十二指腸切除術を施行した. 術後1年3カ月目に, CTでNo9リンパ節の腫脹を認めた. PET-CTでもFDGの集積がありNo9リンパ節転移と診断した. 全身化学療法後に再評価したところ, No9リンパ節転移の他に1cm大の臍部腫瘤が指摘された. 好中球減少のため化学療法継続が困難であり, まずNo9リンパ節に放射線照射を行った. 放射線治療後にSMJNは2.5cm大に増大し疼痛も出現したため切除の方針とした. 術後2年4カ月目, 全身麻酔下に臍部の腫瘤を切除した. 臍部の疼痛は消失し, 臍転移切除後7カ月で癌死するまで臍部痛はなかった. SMJNの予後は不良だが, 疼痛を伴うSMJNに対しQOL改善を目的とした切除の適応はあると考えられた. |
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ISSN: | 0914-0077 |