Crush Syndromeの1例

「はじめに」Crush Syndromeは阪神大震災において多発し脚光を浴びたが, 本来, 特殊な外傷のため一般の臨床医には無縁の疾患である. 今回, われわれは乗用車と共に転落し本症候群をきたしたが, 血液透析により救命し得た症例を経験したので報告する. 症例 26歳, 男性. 現病歴:平成8年2月17日午前3:00頃脱輪した車を持ち上げようと運転席側のドアを開け上半身を車の中に入れた状態で乗用車と共に約2.6mの高さの土手から川に転落. 左大腿, 右手を挾まれ脱出不能となる. 午前8:00頃通行人に発見され, 救急車にて近医に搬送. 経過観察をされるも右前腕麻痺, 左下肢不全麻痺の改善を認...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 4; pp. 1189 - 1193
Main Authors 木村一雄, 尾上英俊, 野見山宏, 秋吉祐一郎, 松永和剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1997
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」Crush Syndromeは阪神大震災において多発し脚光を浴びたが, 本来, 特殊な外傷のため一般の臨床医には無縁の疾患である. 今回, われわれは乗用車と共に転落し本症候群をきたしたが, 血液透析により救命し得た症例を経験したので報告する. 症例 26歳, 男性. 現病歴:平成8年2月17日午前3:00頃脱輪した車を持ち上げようと運転席側のドアを開け上半身を車の中に入れた状態で乗用車と共に約2.6mの高さの土手から川に転落. 左大腿, 右手を挾まれ脱出不能となる. 午前8:00頃通行人に発見され, 救急車にて近医に搬送. 経過観察をされるも右前腕麻痺, 左下肢不全麻痺の改善を認めないため, 約5時間後の午後1:45当院に搬送される. 来院時所見:来院時意識は清明であり, バルーンカテーテル挿入時約180mlの暗赤褐色のミオグロビン尿を認めた(図1). 左大腿には軽度の腫脹および前面から内側にかけての皮下出血斑を認め, 左下腿にも軽度の腫脹を認めた(図2). 両下肢は足背動脈は触知するも運動不能であり, 左下肢は知覚脱失, 右下肢は知覚鈍麻であった. 右手関節以下は著明な腫脹, 発赤および水疱形成を認め, 知覚は完全脱失しており手指の運動は不能であった(図3).
ISSN:0037-1033