人工股関節全置換術(THR)後の大腿骨骨幹部骨折合併例の検討

「はじめに」人工股関節全置換術(以後THRと略す)の術後に大腿骨骨折を合併することは希であるが, いったん生じるとその治療に苦労することも少なくなく重大な合併症の1つである. 我々はこの骨折に対して積極的に手術的治療を行っており, その術後成績を検討したので報告する. 症例 1985~1994年の10年間に当科において経験したTHR術後大腿骨骨幹部骨折は, 7例8骨折(男性1例, 女性6例)である. 骨折時年齢は38~79歳(平均60.9歳)で, 追跡期間は1~8年(平均3年11カ月)であった. THRに至った原疾患は変形性股関節症:4例, 大腿骨頸部骨折:3例で, 骨折の受傷機転は転倒が6骨...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 1; pp. 218 - 221
Main Authors 山本健志, 弓削大四郎, 三村寛, 田口敏彦, 中村克己, 貴船雅夫, 橋口隆, 奥平毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1996
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」人工股関節全置換術(以後THRと略す)の術後に大腿骨骨折を合併することは希であるが, いったん生じるとその治療に苦労することも少なくなく重大な合併症の1つである. 我々はこの骨折に対して積極的に手術的治療を行っており, その術後成績を検討したので報告する. 症例 1985~1994年の10年間に当科において経験したTHR術後大腿骨骨幹部骨折は, 7例8骨折(男性1例, 女性6例)である. 骨折時年齢は38~79歳(平均60.9歳)で, 追跡期間は1~8年(平均3年11カ月)であった. THRに至った原疾患は変形性股関節症:4例, 大腿骨頸部骨折:3例で, 骨折の受傷機転は転倒が6骨折と最も多いが, 歩行時, しゃがんだ瞬間が各1骨折認められ, 明らかな外傷歴のない症例もあった. 骨折受傷までに同一股関節に行った手術回数(骨接合・人工骨頭置換・THR)は1回:2骨折, 2回:5骨折, 3回:1骨折であった. 最終のTHR施行~骨折受傷までの期間は3カ月~16年(平均8.7年)で, 1年未満;1骨折, 5~10年;4骨折, 10年以上;3骨折であった.
ISSN:0037-1033