一般的な使用法 : デスフルラン麻酔からの覚醒と回復 (1) MAC-awake 促進因子と遅延因子, 麻酔後興奮・せん妄, 高次認知機能の回復
[要旨] デスフルランは血液/ガス分配係数が揮発性麻酔薬の中で最も小さいため覚醒が速やかで, また覚醒の「質」も非常に良い. しかし術直後の興奮を完全に防ぐことはできない. 特に術後疼痛対策を十分に行っていないと疼痛が原因で興奮状態となる可能性がある. また, 脂肪/血液分配係数も小さいため, 肥満症例や長時間投与した場合でも組織に残存する量が多くならず, 残存麻酔薬によると考えられる術後せん妄の発生を予防できる可能性がある. このようなデスフルランの特性は若年者に比して体脂肪率の高い高齢者にとっては, より早期の高次認知機能の回復が期待できる. 「I MAC-awake 促進因子と遅延因子」...
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 36; no. 3; pp. 384 - 388 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
14.05.2016
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ISSN | 0285-4945 |
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Summary: | [要旨] デスフルランは血液/ガス分配係数が揮発性麻酔薬の中で最も小さいため覚醒が速やかで, また覚醒の「質」も非常に良い. しかし術直後の興奮を完全に防ぐことはできない. 特に術後疼痛対策を十分に行っていないと疼痛が原因で興奮状態となる可能性がある. また, 脂肪/血液分配係数も小さいため, 肥満症例や長時間投与した場合でも組織に残存する量が多くならず, 残存麻酔薬によると考えられる術後せん妄の発生を予防できる可能性がある. このようなデスフルランの特性は若年者に比して体脂肪率の高い高齢者にとっては, より早期の高次認知機能の回復が期待できる. 「I MAC-awake 促進因子と遅延因子」MAC (minimum alveolar concentration ; 最小肺胞濃度) は加齢に伴い低下し, 年齢が10歳増えるごとに約6%減少すると報告されている. デスフルランは, 覚醒の一指標であるMAC-awakeはセボフルランと同様にMACの約1/3である. |
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ISSN: | 0285-4945 |