梨状筋症候群に対するエコーガイド下での局所注射療法
「はじめに」梨状筋症候群は, sciatic notchのレベルで梨状筋と交差する坐骨神経(Fig. 1)が, 梨状筋の慢性的な攣縮などによってその部位で刺激されたり絞拒されることにより, sciatica, すなわち臀部から下肢後面にかけてのpain, numbnessを生じる稀な疾患である. この疾患ではまず, 梨状筋の筋腹に有痛性のトリガーポイントができる事が多い. 診断と治療を兼ねた梨状筋のトリガーポイントへの局所注射療法は, その有効性が広く認められている. しかし, 梨状筋は厚い殿筋の深層にあり, トリガーポイントの深さの把握が難しく, 実際に梨状筋内に注入していると確信を持つこと...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 3; pp. 834 - 837 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
1997
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 |
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Summary: | 「はじめに」梨状筋症候群は, sciatic notchのレベルで梨状筋と交差する坐骨神経(Fig. 1)が, 梨状筋の慢性的な攣縮などによってその部位で刺激されたり絞拒されることにより, sciatica, すなわち臀部から下肢後面にかけてのpain, numbnessを生じる稀な疾患である. この疾患ではまず, 梨状筋の筋腹に有痛性のトリガーポイントができる事が多い. 診断と治療を兼ねた梨状筋のトリガーポイントへの局所注射療法は, その有効性が広く認められている. しかし, 梨状筋は厚い殿筋の深層にあり, トリガーポイントの深さの把握が難しく, 実際に梨状筋内に注入していると確信を持つことは出来なかった. そこで今回, エコーガイド下に確実に梨状筋内に局所注射する方法を考案したのでそれを紹介する. また, その方法にて治療した2症例を報告し, その有効性を検討する. 方法 まず患者を腹臥位とし, 大転子と仙骨外側端を触診で確認し, その中間あたり, すなわち梨状筋の筋腹がある部位にエコーをあてる. 圧痛点は, この部位にほぼ一致する. 体軸方向にエコーをあてると, 近位から順に, 腸骨翼, 大坐骨孔, 股関節部が, それぞれ低, 高, 低輝度に映る位置があり(Fig. 2,3), その位置でプローベを固定する. 大坐骨孔から深部が高輝度に映るが, その浅層に梨状筋の層が描出され, 梨状筋の浅層に大殿筋, 皮下組織の層が描出される. プローベに固定された針の刺入孔から, エコーガイド下に21Gスパイナル針を用いて梨状筋内に1%のキシロカイン10ccを注入する. |
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ISSN: | 0037-1033 |