頭頸部外傷後症候群症例の検討
「はじめに」いわゆる頭頸部外傷後症候群で生じる平衡障害は, その病態が依然不明なところが多い. これには, 外傷の多様性, 外力の大きさが影響する. 頸部外傷を伴う場合, 深部知覚の亢進だけでなく, 外傷時の脳の震盪の要素がからんで病態が複雑になる1). また, 治療の過程においては患者の心理的影響, つまり被害者意識などが影響し, 治療が遷延化する症例を経験する2). 労災病院という特色から, 過去に経験した頭頸部外傷後症候群症例の検討を行なった. 「対象と方法」1999年11月から2004年5月に当科を受診した頭頸部外傷後症候群と考えられた患者で, 聴覚平衡機能検査を実施できた症例を対象と...
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Published in | めまい平衡医学 Vol. 64; no. 6; pp. 472 - 478 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本めまい平衡医学会
01.12.2005
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ISSN | 0385-5716 |
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Summary: | 「はじめに」いわゆる頭頸部外傷後症候群で生じる平衡障害は, その病態が依然不明なところが多い. これには, 外傷の多様性, 外力の大きさが影響する. 頸部外傷を伴う場合, 深部知覚の亢進だけでなく, 外傷時の脳の震盪の要素がからんで病態が複雑になる1). また, 治療の過程においては患者の心理的影響, つまり被害者意識などが影響し, 治療が遷延化する症例を経験する2). 労災病院という特色から, 過去に経験した頭頸部外傷後症候群症例の検討を行なった. 「対象と方法」1999年11月から2004年5月に当科を受診した頭頸部外傷後症候群と考えられた患者で, 聴覚平衡機能検査を実施できた症例を対象とした. 男性18例(平均48.8歳), 女性16例(平均52.1歳)である. 当院の性質上, 他病院での一次治療ののち, 障害認定の目的で受診した頭頸部外傷後症候群の患者も対象には含まれている. 対象を障害認定やセコンドオピニオンを求めた認定検査群と, 治療を目的とした治療目的群に分け詳細を検討した. |
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ISSN: | 0385-5716 |