骨・関節感染症に対する閉鎖式持続洗浄療法の治療成績
「はじめに」骨関節感染症は抗生剤の進歩した現在でも治療に難渋することが多い. 今回我々は骨関節感染症10例に対し, 閉鎖式持続洗浄を行い良好な結果を得たので, 若干の文献的考察を加え報告する. 対象及び方法 対象は1991年から1996年までに当院にて治療を行った10例で, その内訳は男性6例, 女性4例, 年齢は22から89歳, 平均55.3歳であった. 原疾患は急性化膿性骨髄炎4例(下腿3例, 大腿1例), 慢性化膿性骨髄炎1例(下腿), 化膿性関節炎4例(全例膝関節), 大腿骨頭置換術後感染症1例であった. 起炎菌は黄色ブドウ球菌5例および表皮ブドウ球菌, MRSA, MRSE, 大腸菌...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 2; pp. 607 - 610 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
1998
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ISSN | 0037-1033 |
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Summary: | 「はじめに」骨関節感染症は抗生剤の進歩した現在でも治療に難渋することが多い. 今回我々は骨関節感染症10例に対し, 閉鎖式持続洗浄を行い良好な結果を得たので, 若干の文献的考察を加え報告する. 対象及び方法 対象は1991年から1996年までに当院にて治療を行った10例で, その内訳は男性6例, 女性4例, 年齢は22から89歳, 平均55.3歳であった. 原疾患は急性化膿性骨髄炎4例(下腿3例, 大腿1例), 慢性化膿性骨髄炎1例(下腿), 化膿性関節炎4例(全例膝関節), 大腿骨頭置換術後感染症1例であった. 起炎菌は黄色ブドウ球菌5例および表皮ブドウ球菌, MRSA, MRSE, 大腸菌がそれぞれ1例ずつで, 菌不明なものを1例認めた. また基礎疾患として糖尿病を2例に, 慢性関節リウマチを1例に認めた. 経過観察期間は6から56カ月, 平均23.8カ月であった. 化膿性骨髄炎例に対し病巣掻爬, 化膿性関節炎例に対し切開排膿滑膜切除を行った後, 川嶌式局所洗浄セットを用い持続洗浄を開始した. 洗浄液は生理食塩水1000ml中に起炎菌に対し感受性の高い抗生剤を混入したものを用い, 術当日に4000~5000mlより開始し漸次減量した. 洗浄期間は原則として細菌培養にて回連続菌陰性になるまでとした. |
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ISSN: | 0037-1033 |