脊椎手術中に硬膜損傷をきたした6例

「はじめに」硬膜損傷は脊椎手術において, しばしば遭遇する合併症の1つである. しかし, 本邦では硬膜損傷に関する記載は少なく, 一部の英雑誌に散見5)されるのみである. 硬膜損傷が発生したならば適切な処置を施さなければ髄液瘻の発生に伴い髄膜炎やくも膜炎などの術後感染を併発し致命傷にもなりかねない. そこで, 当科で脊椎手術中に硬膜損傷をきたした症例を振り返り, “硬膜損傷をいかに防ぐか”, “硬膜損傷が発生したらいかに対処するか”ということを検討したので報告する. 「対象及び方法」1996年7月~1999年8月の期間に当科で脊椎手術(抜釘およびPNを除く)を行った109例中, 硬膜損傷をきた...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 49; no. 3; pp. 661 - 665
Main Authors 宮田倫明, 吉田伍一, 渡辺精一郎, 鹿島信之, 山田健治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2000
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」硬膜損傷は脊椎手術において, しばしば遭遇する合併症の1つである. しかし, 本邦では硬膜損傷に関する記載は少なく, 一部の英雑誌に散見5)されるのみである. 硬膜損傷が発生したならば適切な処置を施さなければ髄液瘻の発生に伴い髄膜炎やくも膜炎などの術後感染を併発し致命傷にもなりかねない. そこで, 当科で脊椎手術中に硬膜損傷をきたした症例を振り返り, “硬膜損傷をいかに防ぐか”, “硬膜損傷が発生したらいかに対処するか”ということを検討したので報告する. 「対象及び方法」1996年7月~1999年8月の期間に当科で脊椎手術(抜釘およびPNを除く)を行った109例中, 硬膜損傷をきたした6例を対象とした. 手術時年齢は13~82歳(平均54.4歳)であった. 手術部位では, 頚椎では前方手術4例, 後方手術12例. 胸椎では後方手術が2例, 腰椎では前方手術1例, 後方手術90例であった(表1). 手術法では頚椎椎弓形成術12例, 椎弓切除術19例, 椎弓間拡大開窓術48例, Love法23例であった.
ISSN:0037-1033