上腕骨に発生した骨内脂肪腫の一例

「はじめに」骨内脂肪腫は, 骨腫瘍の0.1%程度1)といわれている比較的稀は骨腫瘍である. 今回我々は, 上腕骨に発生した骨内脂肪腫を1例経験したので文献的考察を加え報告する. 症例 症例:33歳, 男性 主訴:右肩痛 家族歴:特記すべきことなし 既往歴:特記すべきことなし 現病歴:1ケ月前より特に誘因なく右肩痛を出現近医にてX線上, 右上腕骨骨腫瘍を指摘され当科紹介受診となる. 初診時所見:圧痛, 熱感, 腫脹, 可動域制限を認めなかった. 単純X線所見:右上腕骨骨幹端に辺縁硬化がある骨透亮像と, 内部に石灰化を認める(図1). CT所見:脂肪組織と同程度のlow densityを呈しており...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 2; pp. 511 - 513
Main Authors 諸岡孝明, 石西滋, 松原好宏, 西井章裕, 牛島正博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1998
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」骨内脂肪腫は, 骨腫瘍の0.1%程度1)といわれている比較的稀は骨腫瘍である. 今回我々は, 上腕骨に発生した骨内脂肪腫を1例経験したので文献的考察を加え報告する. 症例 症例:33歳, 男性 主訴:右肩痛 家族歴:特記すべきことなし 既往歴:特記すべきことなし 現病歴:1ケ月前より特に誘因なく右肩痛を出現近医にてX線上, 右上腕骨骨腫瘍を指摘され当科紹介受診となる. 初診時所見:圧痛, 熱感, 腫脹, 可動域制限を認めなかった. 単純X線所見:右上腕骨骨幹端に辺縁硬化がある骨透亮像と, 内部に石灰化を認める(図1). CT所見:脂肪組織と同程度のlow densityを呈しており, また内部に石灰化像を認める(図2). MRI所見:T1, T2強調画像ともに, やはり脂肪組織と同程度のhigh intensityを呈しており, 腫瘍内に一部, T1強調画像でlow, T2強調画像でhigh intensityを示す領域がある. また, ガドリニウムにての造影効果はない(図3). 以上の所見より骨内脂肪腫を疑い, 確定診断と治療のため, 掻爬骨移植を施行した. 腫瘍は肉眼的には黄白色で柔らかい脂肪様のもので, 周辺の骨は硬化しており正常の骨組織とは明らかに区分されていた. 病理組織所見では成熟した脂肪組織が大部分を占めていた. 一部に石灰化がみられたが, 骨髄細胞は認められなかった(図4).
ISSN:0037-1033