多変量解析を用いた都市救急病院における被殻出血患者の歩行能力予後予測
高血圧性脳内出血は, 高血圧症の予防と治療の進歩とともに減少してきてはいるが, 依然我が国では症例も多く, 種々の障害を残す疾患である. 一般に, 脳血管障害では脳卒中片麻痺として運動障害が一括して扱われる傾向にあるが, その原因はさまざまで, その病巣部位にも特徴がある. したがって, 全体病像として片麻痺が生じても疾患, 病巣部位, 年齢などによりその機能回復も異なった経過を取ることが予想される. これまで高血圧性脳内出血患者の入院時の神経学的重症度, CT分類, 血腫量と予後との関係が各因子ごとに検討されてきたが, 各因子間相互の影響を考慮して多次元的に検討する必要がある. 今回我々は,...
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Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 29; no. 6; pp. 503 - 509 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科学会
1989
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ISSN | 0470-8105 |
Cover
Summary: | 高血圧性脳内出血は, 高血圧症の予防と治療の進歩とともに減少してきてはいるが, 依然我が国では症例も多く, 種々の障害を残す疾患である. 一般に, 脳血管障害では脳卒中片麻痺として運動障害が一括して扱われる傾向にあるが, その原因はさまざまで, その病巣部位にも特徴がある. したがって, 全体病像として片麻痺が生じても疾患, 病巣部位, 年齢などによりその機能回復も異なった経過を取ることが予想される. これまで高血圧性脳内出血患者の入院時の神経学的重症度, CT分類, 血腫量と予後との関係が各因子ごとに検討されてきたが, 各因子間相互の影響を考慮して多次元的に検討する必要がある. 今回我々は, 被殻出血について多変量解析-数量化I類を用いてその臨床データを解析し, 初期情報からの歩行能力予後予測を試みたところ, 臨床的にも統計学的にも妥当性のある結果を得ることができたので報告する. 対象および方法 対象は, 都市救急病院にて1983年1月から1986年12月までに退院した患者で, 発症後24時間以内に入院した被殻出血72例のうち, 心不全, 腎不全, 重篤な肝機能障害, 出血傾向などの合併症のため現疾患の経過に重大な影響をきたした患者を除く66例で, 年齢は37~80才(平均56.8±11.2才)である. この施設は都市の中心部にある総合病院で, 脳卒中患者に対して24時間救急体制がとられている. |
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ISSN: | 0470-8105 |