対側耳雑音負荷による誘発耳音響放射の抑圧
「はじめに」 蝸牛の外有毛細胞に対する遠心性神経を介した調節機構の研究は, 従来は電気生理学的手法を用いた動物実験により行われてきた1)~7). 1978年Kempによってcochhear echo(誘発耳音響放射・evoked otoacoustic emission以下e-OAEと略)が発見8)され, その後このe-OAEが外有毛細胞の機能に密接な関連を有することが明らかとなって8)9)からは, 音響生理学的手法を用いた動物実験でもこの調節機構の研究が行われるようになった10)~12). しかし, ヒトを対象にした検討はまだない. 今回我々は, Kemp&Bray製作のe-OAE測...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 93; no. 11; pp. 1890 - 1963 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科学会
20.11.1990
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ISSN | 0030-6622 |
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Summary: | 「はじめに」 蝸牛の外有毛細胞に対する遠心性神経を介した調節機構の研究は, 従来は電気生理学的手法を用いた動物実験により行われてきた1)~7). 1978年Kempによってcochhear echo(誘発耳音響放射・evoked otoacoustic emission以下e-OAEと略)が発見8)され, その後このe-OAEが外有毛細胞の機能に密接な関連を有することが明らかとなって8)9)からは, 音響生理学的手法を用いた動物実験でもこの調節機構の研究が行われるようになった10)~12). しかし, ヒトを対象にした検討はまだない. 今回我々は, Kemp&Bray製作のe-OAE測定解析専用器ILO88を用いて, 対側耳雑音負荷によるe-OAEの変化を検討し, ヒトの生理的状況下における外有毛細胞に対する調節機構を示唆する興味深い結果を得たので報告する. 「対象並びに方法」 対象は両側鼓膜正常でティンパノグラムA型の聴力正常者(男・女各5名, 21歳~41歳・平均27.0歳)および一側聴力正常の一側聾者3名(男2名・女1名, 12歳~25歳・平均17.3歳)である. |
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ISSN: | 0030-6622 |