後腹膜に発生し硬膜内に浸潤したMalignant Rhabdoid Tumorの一症例

「はじめに」Malignant Rhabdoid Tumor(以下MRTと略)は小児の腎に好発する予後不良な腫瘍である. この腫瘍は, 1978年BeckwithとPalmerが, それまでWilms腫瘍として取り扱っていたものの中から, 横紋筋芽細胞に類似した組織像を呈し, 悪性度の高い亜型の存在を最初に報告した2). 1981年Haasらは, 光顕上横紋筋肉腫に類似しているが, 電顕では横紋筋芽細胞の微細構造が欠如したこれら腫瘍を"malignant rhabdoid tumor of the kidney"と呼んだ7). その後, 他の臓器や軟部組織等の腎外発生例の報...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 3; pp. 743 - 746
Main Authors 田北親寛, 高下光弘, 吉田盛治, 平川敬, 真角昭吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1997
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Summary:「はじめに」Malignant Rhabdoid Tumor(以下MRTと略)は小児の腎に好発する予後不良な腫瘍である. この腫瘍は, 1978年BeckwithとPalmerが, それまでWilms腫瘍として取り扱っていたものの中から, 横紋筋芽細胞に類似した組織像を呈し, 悪性度の高い亜型の存在を最初に報告した2). 1981年Haasらは, 光顕上横紋筋肉腫に類似しているが, 電顕では横紋筋芽細胞の微細構造が欠如したこれら腫瘍を"malignant rhabdoid tumor of the kidney"と呼んだ7). その後, 他の臓器や軟部組織等の腎外発生例の報告が散見されるようになった. 今回我々は, 成人の後腹膜に発生し硬膜内に浸潤したmalignant rhabdoid tumorの一症例を経験したので報告する. 症例 症例:27歳, 女性, 会社員. 既往歴, 家族歴:特記すべき事項なし 主訴:左臀部, 下肢痛 現病歴:1995年1月, 誘因なく左下腿の刺すような疼痛が出現した. 疼痛は一時的に消失したが, 次に左足趾から左足背にかけて疼痛が生じ, さらに大腿部から臀部にまでひろがった. 同年5月某医を受診し疼痛に対し保存的に加療されたが軽減しなかった. 同年6月近医を受診し, MRIにてL4/5の椎間板ヘルニアを指摘された. 以後牽引, 硬膜外ブロック等保存療法を受けたが疼痛は全く改善せず当院を受診した.
ISSN:0037-1033