解剖屍体における下肩甲横靭帯の観察

「はじめに」肩甲上神経は解剖学的に特異な走行をとり, 肩甲切痕部と肩甲棘基部外側縁部で絞扼性障害を生じる事が知られている. 肩甲棘基部外側縁部での障害に関与しうる下肩甲横靭帯の形状について解剖屍体での観察を行ったのでその結果を報告する. 対象と方法 福岡大学医学部解剖学教室の学生解剖用ホルマリン固定屍体の119肩(右側14肩, 左側13肩及び両側46例92肩)で観察を行った. 三角筋を肩甲棘より外し外方へ反転後, 棘下筋を肩甲棘基部外側縁の外側で切離, 近位側を後内方に反転して肩甲上神経及び肩甲上動・静脈を確認し, その周囲の脂肪組織を丁寧に除去して, 肩甲棘基部外側縁より肩関節包に延びる下肩...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 48; no. 3; pp. 921 - 923
Main Authors 西尾淳, 松崎昭夫, 城戸正喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1999
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」肩甲上神経は解剖学的に特異な走行をとり, 肩甲切痕部と肩甲棘基部外側縁部で絞扼性障害を生じる事が知られている. 肩甲棘基部外側縁部での障害に関与しうる下肩甲横靭帯の形状について解剖屍体での観察を行ったのでその結果を報告する. 対象と方法 福岡大学医学部解剖学教室の学生解剖用ホルマリン固定屍体の119肩(右側14肩, 左側13肩及び両側46例92肩)で観察を行った. 三角筋を肩甲棘より外し外方へ反転後, 棘下筋を肩甲棘基部外側縁の外側で切離, 近位側を後内方に反転して肩甲上神経及び肩甲上動・静脈を確認し, その周囲の脂肪組織を丁寧に除去して, 肩甲棘基部外側縁より肩関節包に延びる下肩甲横靭帯の状態を観察した. 靭帯の厚さを正確に計る事は難しいので, 欠損, 薄い膜様, 筋膜様, 厚い膜又はバンド状のものと肉眼的に分類して記録した. また, 下肩甲横靭帯と下の骨までの間隙の大きさも観察した. 結果 下肩甲横靭帯を認めたのは116肩(97.5%)で, 3肩(2.5%)で欠損していた.
ISSN:0037-1033