喉頭全摘出術後に発症した輸血後移植片対宿主病(GVHD)症例について

「1. はじめに」 術後1-2週間に発熱・紅斑・白血球減少などをきたし予後不良な病態は“術後紅皮症”とよばれ1), 極めて重篤な術後合併症の1つにあげられている. 最近, その本態は輸血(おもにTリンパ球)により引き起こされる移植片対宿主(Graft Versus Host：GVH)反応である2)～6), と言われている. すなわち, Graft(供血者)血中リンパ球がHost(患者)内に生着し, Hostの組織を非自己と認識し攻撃・破壊する反応である. 今回, 私たちは喉頭全摘出術後に生じた輸血後移植片対宿主病(Graft Versus Host Disease)を経験したので, 反省も含め...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 95; no. 6; pp. 891 - 961
Main Authors 峯田周幸, 酒井丈夫, 鈴木郁子, 国本幹乃, 佐藤守彦, 安原秋夫, 石崎久義, 森田浩史, 野末道彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.06.1992
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Summary:「1. はじめに」 術後1-2週間に発熱・紅斑・白血球減少などをきたし予後不良な病態は“術後紅皮症”とよばれ1), 極めて重篤な術後合併症の1つにあげられている. 最近, その本態は輸血(おもにTリンパ球)により引き起こされる移植片対宿主(Graft Versus Host：GVH)反応である2)～6), と言われている. すなわち, Graft(供血者)血中リンパ球がHost(患者)内に生着し, Hostの組織を非自己と認識し攻撃・破壊する反応である. 今回, 私たちは喉頭全摘出術後に生じた輸血後移植片対宿主病(Graft Versus Host Disease)を経験したので, 反省も含め若干の考察を加えて報告する. 以下, 輸血後GVHDと略す. 「2. 症例」 T・M 60歳 男性 主訴：嗄声 既往歴：糖尿病, 肝硬変 家族歴：特記すべきことなし 経過：1988年夏頃より嗄声に気付くが放置していた.
ISSN:0030-6622